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4/08/2013

帯気音 と 母音

数日前、素人外国人で日本の歌が一番うまいのは誰かを決めるというテレビ番組を観た。世界各国から招待された素人が日本の歌をカラオケで歌う、という趣向であえる。

歌はそれぞれ皆非常にうまいのだが、歌詞の発音の巧さには、結構凸凹があった。ひとりかふたりは、目を閉じれば日本語ネイティブでないとはわからないと思われたが、ほとんどは、どこかにネイティブではないな、と思わせるものがあった。

日本語においてノンネイティブ性を感じさせる発音の正体は何だろう、と注意を集中して聞いてみた結果、ひとつは語頭破裂音の帯気の強さだ。日本人の日本語ではまずありえないという強さの aspiration が、非母語話者であることを感じさせる。

もうひとつは、単母音の対等な連続、例えば「あい」OO を、二重母音のあーぃ Oo と発音してしまう点であった。

ここからわかることは、逆に日本人が英語を話す時は、英語らしさを生み出すには、破裂音の十分な帯気と、二重母音の最初の要素を強く長く、glideの終盤までなめらかに弱める、ということが大切だ、ということだ。

4/06/2013

大東文化大学は2013年に創立90周年を迎えました。


非母語話者同士だからこそ


私がいつも言っていることを裏付けるようなメールが教え子(現職教員)から来たので紹介します:

私は修論テーマの関係もあって、今台湾に留学中で英語を使って授業を受けています。 
私はどちらかと言えばAsian Englishes, World Englishes を支持する立場なのです.そして、私は今インドネシア人、ドイツ人、中国人、台湾人、ベトナム人などなど、Non-Native同士で英語を使う授業を受けているのですが、最近つくづく思うことがあります。 
Non-native同士だからこそ、発音は大事だなと感じています。特に子音(nとngをしっかり出す, th, lとrの区別、またはaspiration≪中国語、韓国語母語話者はそれによって、言葉の違いを認識するので≫ )は、しっかり出さないと通じないですし、また自分がそれなりに意識して発音ができていなければ、相手の崩れた発音が何を言っているのか認識できません。 
そのクラスにはNative Speakerもいるのですが、むしろNativeの方が少々発音が崩れても分かってくれているのではないかなとも感じます。やはり発音は大事でした。靜先生が教えて下さったのは、World Englishesだったのだと私は思います。ありがとうございました。これからも精進します。

注: 韓国語はaspirated stopは「激音」と言いますね。unaspirated stop とは別の音となっています。

いや、そうですよ。いつも講演ではいってるのですが、ネイティブは耳の守備範囲が広いから。我々だって、日本語ならどんな方言でもすぐ慣れるでしょ。でも外国人はキツイはず。 0.9*0.9 = 0.81  0.8*0.8 =0.64  と、どんどん伝達内容は減ります。

「最低限」の「最大公約数」の発音でいいのです。が、その「最低限」が、多くの人が思っているよりも高いというか多い、ということです。

今我々が苦労している発音項目で省略していいようなものはひとつもありません。

うまい話など、ないのです。

落ち着いてラリってください

新年度開始にあたり、小さな、しかし結構役立ちそうな発音tips をひとつ。

library, vocabulary, ordinary, temporary などの単語がうまく発音できない英語教師は珍しくありません。


問題はいずれも、語末で、...rary ..lary ... nary .. rary  にあります。


これらの部分を、チョコチョコと早口で、ラリー ラリー ナリー ラリー と発音するから上手くいかないのです。(Rでミスる場合が多いですね。)


辞書で発音を確認してみましょう。これらの語尾は、いずれも最後から2番目の音節に、secondary stress がくるのがわかります。secondary stress も大ポンにすると、


ordinary なら、OoOo (あるいは OOo)
vocabulary なら、oOoOo


という感じです。


そこで、イメージを変えてください。


library は、ライブラリー でなく ライブ・レーアリ


vocabulary は、ヴォキャブラリー でなく、ヴォウケァブ・レーアリ


ordinary は、オーディナリー でなく、オーディ・ネーアリ


temporary は、テンポラリー でなく、 テンポ・レーアリ


と、いずれも、中黒(・)の直後の第2強勢音を、落ち着いてすこし引き伸ばしてみると、うまく行きます。


rary
lary
nary
rary


を落ち着いて、レーアリ、レーアリ、ネーアリ、レーアリ、と言えばよいのです。(R/Lはもちろんきちんと)

RとLは単体では発音できる人も、チョコチョコと発音するなかでイマイチになるようです。


secondary stress の部分で落ち着いて、きちんと伸ばし気味にすることで、本来の発音力が発揮できると思います。


試してみてください。自分で自信がでたら、生徒たちにも。

レディはreadyでラーニング

今日電車の2つの広告で思ったことがある。

まず、英会話学校のGabaの広告で、

朝7時からやることは何ですか。running ですか。こんどは learning もどうですか。的なコピー。

ランニング と ラーニング をかけて言葉遊びをしているつもりと見た。

たしかにほとんどの生徒の running と learning の発音は区別がつかない。

次は、腰を掛けてシェイプアップをして、ウェストの「くびれ」を作るという触れ込みの健康器具?の


ちなみにつづりは、 cuvilady

で、その横には若い女性が5人、細いウェストを出して踊りながら、

Are you ready?

と叫んでいる、というもの。

アーユーレディ? クビレディ。

という lady と ready で、韻?を踏んでいるつもりである。

2つの広告の共通点は、英語としては誰も韻を踏んでいるとは思わない2つの単語を、カタカナ読みして、ダジャレ的に使っている、こと。

つまり、日本における英語の位置というか、日本人の音声面における英語力の低さの証明に思える。

クビレディはともかく、英会話学校の広告としては、どうなん?