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12/17/2020

エージーかエージーズか、それが問題だ ...

 大学にはいま「サンポリ」という業界用語がある。これは「3ポリ」のことで、「3つのポリシー」の略なのだ。すなわち、Admission Policy (AP)、Curriculum Policy(CP)、Diploma Policy (DP)だ。

この3ポリは学部学科だけでなく、◯◯センター(キャリアセンター、教職課程センター、国際交流センターなどなど)のような「所属学生」を持たない組織にもあるのだが、厳密に言うと diploma (修了証書)を出す組織ではないので、Diploma Policy はおかしいでしょう、ということになった。

そこで  diploma policy に変わる用語はありませんかねぇ、という相談を受けたので、英語教員としては、Achievement Goals でどうでしょうか、と提案したところ、それが採用になった。

カタカナ表記として一度「アチーブメントゴール」と言われたので、「いや、ゴールじゃなくてゴールズでお願いします。複数形で。」と言ったところ、その後、会議などでは「アチーブメント・ゴールズ」という言い方が用いられるようになった。

いったん、ほかが Policy と単数なのに、なぜ Goalsだけが複数なのか、という質問がでたが、policyは全体でpolicy ですが、 goalは個々の到達目標がたくさんあるので、という説明をしていちおうは納得してもらった。

問題はここからである。Diploma Policy を DPと略したように、Achievement Goalsも略記しなければならない。最近、猫も杓子も口にしているSDGsの例を見るまでもなく、Achievement Goalsは AGs になるのが正しい(は言い過ぎかもしれないが、少なくとも慣行であると思う)。しかし、アチーブメントゴールズのアクロニムとして、AGsを提案することは、私はできなかった。提案して採用されなかったわけではなく、自分の気持としてできなかったのである。

なぜか。

それはあくまでこれは、日本という国の中で日本語を物事を進めている中での、ファッションとしての?英語アクロニム使用の文脈だと考えたからだ。つまり、そのなかで「アチーブメント・ゴールズ(AGs)」とやってしまうと、AGsの「正しい英語らしさ」が目立ちすぎてしまって違和感があるのではないか、と思ってしまったのである。

会議のなかでも "DP"と書いてあるところは、みんな「ディーピー」と読んでいる。APは「エーピー」と読んでいる。でもAGを「エージー」と読んではくれるだろうが、AGsと書いてるのを、「エージーズ」と読んでくれるだろうか?

30 pointsでなく、30 ポイント というのがノームであるお国柄である。「ポイント」というカタカナ語は完全に定着していると思う。また発音的にもポイントとポインツの使い分けくらい、かなりハードルが低いと思うのだが、それでも、メディア等で、カタカナ語として、10点を、「テンポインツ」と言った例を私は聞いたことがない。ポイントでなくポインツというのさえ違和感がある国で、ゴールでなくゴールズというのを受け入れるだろうか?答えはノーではないか、と私は思ってしまった。

そもそも Go To Travel とやって、「わかるんだから、英語として正確かどうかなんて二の次だよね」という状況である。AG か AGs か、なんて二の次どころか三の次ではないだろうか。

だが、今後いろいろな会議で目にする書類で、AGと書いてあって、それを「エージー」「アチーブメントゴールズ」と発音されるたびに、AGs を提案しなかった己の意気地なさに思いをはせることになりそうだ。




12/11/2020

目隠しリピーティング、いい感じです!

 英語の授業で、一応本文の理解が終わった段階で使えるだろう、シンプルでかつちょっとだけチャレンジングな活動を紹介します。名付けて「目隠しリピーティング」。対面授業でもZOOM授業でもできます。中学低学年でも使えるでしょうが、中3〜高校くらいの題材がやりやすいと思います。

やりかたは簡単。前提として生徒全員が手元に文章が見える(教科書として持っている、または投影したスクリーンが見える)とします。適当な1文を選びます。生徒をひとり指名します。指名された生徒は自分で自分の目隠しをします。単に目を閉じてもいいです。

教師がその1文を、なるべく自然な発音で、connected speechや linkingなども駆使しながら音読します。対象としている生徒にとって適切な長さのチャンクで切りながら読んでください。指名された生徒は目隠しをしたまま、教師のチャンクごとの音読をリピートします。

1文の最後までリピートができたら、生徒はその文の意味を日本語で言います。うまくできたら別の生徒を指名して別の文を使って同じことを繰り返します。

想像すればわかるように、指名されてリピーティングする生徒にとっては結構チャレンジングでしょう。一応意味や構造が分かっている文とはいえ、10語を超えるようなチャンクを一気に言うためには、ワーキングメモリに負荷がかかります。つまり、よい練習になるのです。ある題材の復習や仕上げ段階に最適ですね。

周囲の生徒は当該の文を見ながら先生の音読を聞き、目隠しして四苦八苦しながらリピートしている生徒の音声も聞き、「ああ、あそこができてないな」とか「自分だったら言えるかな」などと思いながら見ているわけで、退屈はしにくいのではないでしょうか。周囲の生徒には教師がどの部分を読んでいるかを視覚的に指し示しておくと良いでしょう。

なお、目隠しリピーティングの段階であまりにもヘロヘロなリピートしかできない場合には、すぐに「じゃあ見ながら言ってご覧」と言って、普通のリピーティングに切り替えてあげます。意味を言う段階でヘロヘロな訳しかでてこない場合にも、すぐ「見ながら」モードに切り替えてあげます。

またリピートさせるのは必ずしも1文である必要はなく、適当な長さのチャンクでもよいです。その場合は意味を言わせるのもそのチャンクの意味を言わせることになります。

ひとり(1文)にかける時間を短くして、ランダムに次々に多くの生徒を指名すれば、よい意味での緊張感を作りだせるでしょう。対面の授業であれば、目隠しの代わりに後ろをむいて立たせる、などのバリエーションも楽しいかもしれません。

明日からでもすぐにできる、授業内活動のシンプルなひとつのテクニックとして、いかがでしょうか?