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5/31/2012

授業は人に見せるものではない(?)


ご存知のように(?)、心技体の15戒のひとつに、

「いつだれにいわれても授業を見せるのを断るな」

というのがあります。

いつだれにでも見せられるような授業をしろ、という趣旨なのですが、実は最近は 「いつでも授業公開OKにしろ」

というのは違うなあ、と考えなおすようになりました。なぜかというと、生徒・学生たちの「ぶざまな」姿を「外部」の人に見せるのはよくない、と思うからです。

たとえば数年前、3年生対象のゼミを聴講させてもらえないでしょうか、と2年生が言ってきたことがあります。断りました。ゼミでは、学生たちにダメ出しをしたり、何度もやりなおさせたり、というしんどいやりとりをするわけで、その「先輩」の無様な姿を後輩の2年生に見せるのはよくない、と思うからです。

普通の授業も同じ。鬼コーチの部活のようなもので、部員が泥だらけになったり、涙をながしたり、コートで汗まみれになって必死になっている姿を、軽々しく誰にでも見せるものではないでしょう。授業という閉じた空間だから、私に対してだから見せる学生の表情、行動、というものもあると思います。

きょうも グルグルを1時間やっていて、どんどん合格する学生の影で、なかなかひとりだけ合格できないということに気づいて1時間中目を真っ赤にしながらそれでも必死にトライを続けた学生、その学生を励ましている友人、がいました。そういう学生の姿は軽々しく外部の人には見せたくはありませんし、見せるものではないと思います。

というわけで、この意味において、あの戒律は修正しようかな、と思っています。

もちろん、自分の授業に自信がないから見せたくない、っていうのはダメですが。

5/26/2012

今までのことは忘れて

新しい学生たちと出会ってから2か月めに入りました(ね)。

今、とくに1年生に対峙するときに力説しているのが、「知っている単語でも、新しい単語だと思って、1文字1文字スペリングを確認しながら、丁寧に、ゆっくり発音しなさい」ということです。

LはLとして、RはRとして、THはTHとして、FはFとして、VはVとして、BはBとして。

知らない単語であればそれなりに気をつけて発音すると思いますが、なまじ「知っている」と思っているので、自分が6年間かけて自動化した「いい加減発音」を、無意識に発音するわけです。

できるならば一つも単語を知らないならば、こんな無駄な作業(=覚えたものを忘れてまたゼロから覚えなおす)をしなくても済むのに、と感じます。

上唇を動かさず、下唇だけを動かして上前歯につける、などの動きを、英語学習7年目にして初めて(私に)強制してもらう学生が、ひとつひとつ、すこしずつ調音筋肉の動きに慣れてゆくのを見て、たしかな手ごたえを感じます。

かならず彼ら、彼女らに、本当の英語を身につけさせます。

期せずして今日、「文法の正確さを気にさせすぎると発話量が減るから、正確さを気にさせないようにしたい」という趣旨の発表を聞きました。私はまさにその正反対で、

発音の正確さを気にさせないといつまでたってもまともな英語が身に付かないから、どんなにゆっくりでもいいから、どんなに発話は少なくてもいいから、正確に、ゆっくり発音させたい」

と思います。正確さが身につけば、じょじょに自然に楽に素早く発音できるようになるのは単なる時間の問題だ、と思うからです。

5/19/2012

自力と他力の2ラウンド制

たとえば指定した英文を要約してくるという課題を出した時、英語としてかなりまずいグローバルエラー(たとえば主語がない、述語がない)を含むような文を書いてくる学生がいたとします。

(ただし、書いてある英語はまずいのですが、本文の内容は概ね正しく把握しているようだ、というレベルです)

もちろんある程度の添削というかフィードバックはしますが、部分的なフィードバックで済まないようなレベルの場合、そもそも自力で要約してこい、という課題を出すのが時期尚早なのではないか、と思ったりもします。

こういう場合は、あらかじめ私のほうで作成してしまった要約文を提示して、それを暗記してくる、という課題のほうが実は長い目で見て有効なのではないか、とも思い始めました。

でもそれだと、今までは自力で本文を読解して曲がりなりにも要約していたのが、こんどは本文を読解しなくても当たらえれた要約文を単に暗記すればよい、ということになって、自力での読解作業を止めてしまうかもしれません。

ではこうすればどうでしょうか。

最初は自力で読解した結果を英語で要約させてくる。そしてある程度のフィードバックを与える。その上で教師が作成した要約文を与えて、今度はそれを暗記させてくる。暗記できた語数を点数にする。このサイクルを繰り返す。

すると、ひとつのテキストに対して、1回目は自力で要約、2回目はお仕着せの要約を暗記、という作業になります。

1回目は産出する英文はボロボロかもしれませんが、自力で要約しようとする過程で何らかの力がつく、と期待します。

2回目はあまりクリエイテイブな頭の使い方はしないですが、表現を覚えようとする過程で、力がつくと期待します。

この2種類の作業を繰り返すことで、どちらか1種類よりも力がつく、と期待します。

ここまで書いてきて、要約でなく、自分の意見を書く「自己表現」についても同じ2ラウンド制が適用できることに気づきました。

ひとつの素材について、1回目は自力で意見を書く。2回目は教師が与えた特定の意見英文を暗記する。

なお、「教師の意見を書いた英文」の一種として、「心技体」の要点をひとつ100~150語の英文30にまとめたものを作成して、英語教育学系の授業の学生に暗記させるというのを今年はやっています。

ここ↓
https://sites.google.com/site/zukesdownloads/home/1-shin-gi-tai

5/09/2012

ぞんざいに扱う

英語初心者の学生に今日教えたこと:

***

英語でも日本語でも、言いたいことがあるからものを言うので、自然と言いたいことを強く言うよ。で、その傾向が英語は特に強い。

名詞とか形容詞とか動詞は強く発音するよ。

関係代名詞とか冠詞とか助動詞とかは、文法的には重要だけど、意味はどうでもいいから、もっとぞんざいに扱ったほうがいいよ。

***

これだけで、いっぱつでかなり英語らしさがアップしました。

大事な語を強く言う、というより、どうでもいい語を、ちょこちょこ、トーンを落として、素早く言う、という感覚を練習させるのが重要みたいですね。弱く言うだけでなく、pitch も落とす、のがコツです。

m と b が発音できない人多し

ことしは自分史上では最高の総人数を対象に授業して、すべての授業でグルグルしています。

もちろんLができないとかRができないなどの学生はいますが、それは日本語との対照から予測できることですので今更、意外性はありません。

ことし意外性を痛感しているのが、mやb がきちんと発音できない(というか、しない)学生が結構多いのだな、ということです。発音できないというのは、両唇閉鎖音である(上下の唇を完全に合わせて呼気の流れを100%ストップする)これらの音を、閉鎖せずに発音する、という意味です。

以前から私は「ニコニコ女子」という呼び方で、ふだんからよく微笑んでいて、前歯が見えている女性は、日本語を話すときにもmもbも、labio-dental(上前歯と下唇によって)で発音するクセがついている、という現象を指摘していましたが、またそれとは違うようです。

男子も女子もかなりの率で、m や b で要するにいいかげんでそれっぽい音を出して済ましている者がいる、ということです。まったく閉鎖せず、唇と唇の間が5ミリも開いていたり、かろうじて閉鎖に近くとも、押し付けが弱いので空気が漏れているので、閉鎖音に聞こえないケースまで入れるともっと多くなります。

over the rainbow のなかの、dream や dreams の m で閉鎖がなかったり、 born this way の、my mama told me when I was young, we are all born superstars の、mama やborn
できちんと閉鎖しない、のです。

この件で、「mはこうやって閉じろ!」と、両唇をぎゅっとつまんでやった男子学生が今週だけでも何人いたことか。

もちろんmもbも、母語である日本語でもあるわけなので、これらは本人の母語の習慣の転移と考えるのが妥当でしょう。彼らは日本語もそのようにいい加減に発音しているわけです。これは、いかに母語は無意識に、そして場合によってはいい加減に発音しているか、という一般論になるのか、日本人だけの現象なのかは現段階ではわかりません。

(しかし、v と b が分化している言語であればこれは大問題になるはずなので、それがない日本語母語話者だけの問題である可能性のほうが大きいでしょう。ようは、rとlが分化していないのと同様、vとbも分化していないので、vがbになったり、bがv的になったり、ということかと思います。また、日本語の「ん」が、mもnもngもすべて含んで非分化だ、というのも関係しているでしょう。だから英語の語末で、nもmがごちゃごちゃなのだと思います)

わかるのは、いま私の前にいる大学生たちは、その習慣で中学・高校とずっと授業を受けて来ている、ということです。私にしてみると信じられません。中学などのもっともっと早い段階で、きちんと指摘して、習慣形成をさせて欲しいと思います。

中学、高校の先生、どうぞよろしく。頑張ってください。

よく、日本人の役者が英語圏の映画に出たり、日本人の歌手が現地で英語でレコーディングするときに、現地の英語コーチにいかに徹底的に発音を直されるか、というエピソードはよく聞きます。単にそのへんで買い物をする、友達と話す、というレベルを超えて、仕事で英語を使おうとか、英語圏で仕事を得よう、というレベルになれば、実はクリアな発音というのは本当に重要なファクターなのだと思います。

しかしこういう現象について、「国語」の先生はどう思っているんだろうねぇ..... 「日本語」の先生じゃないから関心ないのかな...

5/04/2012

どんびきダンスでリズム音読

ウィルコムのCMの、どんびきダンス:




どんどんびきびき
ど~んびきびき
どんどんびきびき
は!

は、

OOOOOO-

という、4+3(+1) の8拍なので、そのまま授業でリズム音読に使えます。

5/01/2012

一斉授業は辛い...

人の話を黙ってじっと聞いているのは辛い...

よっぽど話の中身と話し方で惹きつけるのでない限り、90分じっと聴かせるのは無理でしょ。

母音のメリハリ

(担当学生へ一斉メール)


みなさん

英語を聞いて、なんとなく英語らしいか、そうでないかの決めてのひとつに、あいまい母音シュワが使われているか、があります。

発音記号で書くと、e をひっくり返したようなあれです。シュワという名前です。

日本語は、強く話そうが弱く話そうが、あいうえおはどこでもあいうえお、かきくけこはどこでもかきくけこ、というシンプルな言語ですが、英語は違います。

ざっくり言うと、アクセントのある音節では、母音ははっきりと発音されますが、アクセントのない音節では、どんな母音でも何の母音かよくわからないようなあいまいな音になります。

それをすべての音節をはっきりいってしまうと、英語らしくない、のです。

単純な例では、

Mr. は、Mister の略ですが、この

Mis の部分ははっきりした母音ですが、

ter  は弱いので、決して ター ではありません。

弱い音節の母音はあいまいに。これがあなたの英語の1ランクアップの道です。

シズカ