10月末から11月にかけて6日間ほど、ドイツで行われた The English Week という催しに参加してきました。これは、Waldorf Schools 別名シュタイナー学校で教える英語教師が集まって合宿し、プロの詩人、役者、ストーリーテラー、道化師、音楽家、そして教師が行うさまざまなワークショップを受ける、というものです。
Waldorf では、芸術的要素というものを、英語教育のなかで非常に重視しています。
私は歌のクラスと、clowning のクラスと、小学生を教えるライムや詩のクラスに参加しました。あまりに内容が濃すぎてまたバラエティに富んでおり、いちどにレポートは不可能ですが、少しずつ書いてみたいと思います。
期間中を通じて強く印象に残ったことのひとつは、プログラムの内容もさることながら、マイクが一度も使用されなかった、ということです。参加者は100余名なのでそこそこの集団なのですが、ホールで行われた全体の講演でも、スピーカーのだれもがみな、肉声でした。
そしてその肉声が、ひとりひとり、すばらしいのです。なんといっても舞台芸術の分野のプロばかりなので、その発声、声質、緩急のつけかた、間の取り方など、こちらがおもわず息を殺して聞き入ってしまうような人たちばかり。
これはたまたまではなく、Waldorf Schools では、自分の口から出た音声を、相手の耳に、さらに心にいかに効果的に届けるかという部分を重視していることと関係しているとのことでした。
自分も大学に移ってからマイクが手放せなくなってしまっていますが、言われてみれば、直接の声と、マイクというデジタル処理を通した声では、伝わるものが違うということは感じられます。
仮にも「ことば」を教える者として、人間の音声、human speech というものの本質、原点をremind されたような気持になる体験でした。