Total Pageviews

11/09/2019

11月28日(木)手島良先生の講演会を開催します!

大東文化大学の英語学科教員志望学生を対象とした特別講演会を下記の要領で開催します。会場のキャパには余裕がありますので、学外の方を含めてどなたでもご参加いただけます。どうぞお越しください。


-->

2019年度 英語教員志望者対象特別講演会

日時: 2019年11月28日(木) 18:30 – 20:00
場所: 大東文化大学 板橋校舎 1号館 1−0101教室


生徒に“自力で”単語を読ませる法 

武蔵高等学校中学校教諭 手島 良 先生




概要
 単語の発音練習というと「教師のモデルのあとに、生徒が繰り返す」のが一般的でしょう。先生がよく言うRepeat after me.が象徴的な言葉ですね。ところで、このとき、生徒はどんなことをしているか、考えたことがありますか?
 授業中はちゃんと単語を音読できた生徒が、家に帰って復習しようとしたら読めなくなっている、ということがあります。これは、その生徒の記憶力の問題なのでしょうか。そうではなく、語のどの部分をどう発音しているかを意識しないまま、Repeat after me.という指示に素直に従って、ただオウム返しに声を出していたのが原因だという気がします。
 単語を読ませるのに、オウム返しをさせずに、生徒の力に委ねる方法があります。単語の綴りの一部から始めて、少しずつ文字や綴りを書き足しながら音読させていく方法です。こうすることで、生徒は文字・綴りと発音の関係を意識しながら、“自力で”単語を音読できるようになります。
 もちろん、家に帰ってからもちゃんと読めますし、綴りを覚えるには(ひたすら繰り返し書くのではなく)正確な発音をするのが近道だということも理解します。また、特別な発音指導をしなくても、子音連続の間に母音が入らず滑らかに言えるようになるというメリットもあります。
 そんな、不思議な(?)単語の読ませ方を紹介します。

講師紹介
 東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業。英国レディング大学大学院(応用言語学)修士課程修了〈ロータリー財団奨学生〉。大学非常勤講師(兼任)。NHKラジオ『新基礎英語3』講師(20022004年度)。ブログ〈英語教育あれこれ「どれ?」「それ!」〉。
 著書に『これからの英語の文字指導〜書きやすく読みやすく〜』(2019、研究社)、『通じる英語の発音ドリル〜逆発想でマスターする強勢・アクセント〜』(2006、研究社)、『英語の発音・ルールブック』(2004NHK出版)など。共著に検定教科書〈英語表現1〉EXPRESSWAYS2014、開隆堂)など。また、編者として『英語は「教わったように教えるな」』(若林俊輔著、2016、研究社)。

学外の方で参加希望の方は事前にメールしてください→ 靜 哲人(shizukaアットic.daito.ac.jp

11/08/2019

『音トレーニングドリル』を使うとスピーチコンテスト入賞!

先日のスピーチコンテスト終了直後、入賞したひとりの高校生とそのお母さんが私のもとにいらっしゃって、「一緒に写真を撮っていただいていいですか?」とおっしゃるのです。どういうことなんだろう、と訝りながら写真撮影に応じていると、

「先生の本を読んで勉強しました。」

え?どの本ですか?

「あのピンクの発音の本です。面白いですね、ヌルヌルとか。。。」

ああ!『音トレーニングドリル』ですね!

ということは学校で採択してくださっているのですね。ありがとうございます。それは嬉しいな。

アルク『発音入門 音トレーニングドリル』監修・執筆 靜哲人

ちなみに、ヌルヌルというのは、「ヌルヌルのオクラも入れたとろろ汁」をRで言う、ってやつですね。

『音トレーニングドリル』を使うとスピーチコンテストで入賞できます(笑)。
さあ、学校の先生にお願いして、学校採択で!

11/04/2019

英語スピーチコンテスト 2019 終わりました。。。

終わりました。いろいろな意味で最高のコンテストになりました。公式のレポートは大学のHPに書いたのでこちらをご覧ください。ここには公式HPには書かないことを書きます。

受付で頑張ってくれた2年生教職女子4名

この1ヶ月ほどは頭の中がスピーチコンテストでの準備でほぼ一杯になっていたので、ちょっと「スピコンロス」になっております。毎年のことですが。「終わっちゃいました」という感じですね。この1ヶ月にやっていたことは:

  • 大学生の出場者はできるかぎり平等に個別に対面でコーチ。とくに私の授業を受けたことのない1年生は丁寧に複数回指導。
  • 高校生の出場者には遅ればせながら1週間前にメールで発音改善ヒント(ただし質問は平等性の観点から受けられない)
  • スタッフの学生(全員が教職学生)の組織と当日の段取り(副賞(金券あり)を誰がどうやって管理する、花は何時に納品される、賞状は誰がそうやって作成する、などなど。。)
  • 大学生出場者は1度ずつ会場でリハーサルをさせ、ひとり30分は指導
  • 審査員に審査基準の説明と、審査の段取りの確認
  • 観客の少なさが毎年の悩みなので一人でも獲得すべく、近隣の高校に電話でアポイントをとってパンフレットを持っていく。
  • 審査合間のショーのリハーサルを見る
ショーのリハーサル

リハーサル後の真剣なダメ出し

他のチームのパフォーマンスを見つめる

居残ってまだまだ練習する This Is Meチーム

ショーの司会担当 サリーさん

いよいよ明日が本番

以上のすべてを授業の合間にやるので忙しくないことはないのですが、基本的には好きでやっているので全く苦にはなりません。


内輪話として、最後まで小さな、しかし自分にとっては大きな悩みは「賞状をどうするか」でした。「どうするか」の意味は次のようなことです。

昨年までは審査が終わって受賞者が決まるとその場で、事務の方が、あらかじめ準備しておいたファイルに氏名のみ入力し、PCからカラープリンタで出力し、ばっちりきれいな完成版を9人分作成していました。しかし30分程度という時間が限られたなかで、PCでプリントアウトするというアレンジはなかなか精神的なプレッシャーがあるものです。機械ですから突然トラブルにならないとも限りません。紙がつまったりしたら賞状が渡せなくなります。

学内的な事情もあり、今年からはその事務の方の手は煩わせずに私たち教員でできる範囲でやることになったので、まずそのプリントアウト方式はしないことに決めました。(その会場でプリントアウトするには我々教員のPCではだめで、事務の方のPCでなければだめだという制約もありました。)

あとはよくやられているように、その場では賞状に鉛筆で薄く手書きで受賞者氏名を書き、仮のものとして渡し、後日、何らかの方法で「本物」にする、というものです。しかし本学の大学生はともかく高校生は関西など遠方からも来ていますので、あらためて「本物」を郵送するということになります。それも手間です。

後日郵送を避けるためにはやはり、その場で「本物」を作成するしかありません。しかしプリントアウトするオプションはすでにありませんから、あとはその場でペンで手書きすることになります。しかし知っているひとは知っていますが、私は字が汚いですし、極度の「手書き恐怖症」で、情けないことに緊張するとすぐに字を間違えるのです。漢字ならうっかり別の辺や別のつくりを書いたり、アルファベットなら文字をひとつ飛ばしたたり、ということが多いのです。その場で書き損じたら、もう用紙の換えはありません。

こうして(1)その場では仮賞状を渡して後日ゆっくり完成版を送る、(2)その場で手書きをする、の2択でいつまでも言ったり来たりで悩みました。はたから見ればどうでもいいことかもしれませんが、もらうほうからすれば重要なことでしょう。そこでこれについてどうおもうからゼミ生にLINEで投げてみました。するとそこで出てきたのは、圧倒的に(2)を支持する声でした。

もちろん「あまり汚いのは嫌だけど」という留保付きではありますが、「その場で記念写真をとったりすることを考えるとその場で本物が欲しい」「その場で本物をもらったほうが、盛り上がる」「こういうイベントはライブ感が大切だと思う」という意見を聞いて、私は腹を決めました。

下手だけど俺が書こう。。。

その日のうちにアマゾンで英文カリグラフィー用のペンを注文し、翌日届いたロットリングのArtPenで、出場者合計21名の名前を、少しでも見栄えよく書けるように繰り返し練習をはじめました。やってみると、まあまあ、それほどみっともなくはない程度の文字は書けるようになりそうです。しかし当日は一発勝負。時間が迫るなかで書かねばなりません。手書き恐怖症もあります。ということで、当日はひとつの賞状につき2枚ずつ印刷していって、最悪一回書き損じてももう1枚がある、というアレンジで臨むことにしました。

いよいよ開会行事がスタート

さて、なんと言っても今年の特徴は、自分のゼミの学生たちが審査合間のショーを企画しながら、かつそのうち2名は肝心のスピーチにもコンテスタントとして出場した、ということです。




前のポストにも書きましたがショーに関してゼミ生は本当によく自発的に動いてくれました。本番の朝、実は突然マイクがまったく音がでない、PCからも音が出ないというトラブルがあり、一時はすべてを生音でアカペラでやるという最悪の事態も覚悟しながら肝を冷やしました。原因はわからないまま無事復旧し、事なきを得ましたが、もしあのときあのままマイクが使えなかったと考えると考えただけで、ゾッとします。この半年間、うちのゼミ生がいかに一所懸命準備していたかはよくわかっていましたので。


Perfect チーム

そしてショーの様子は公式HPにも書いた通りで、大成功と言ってもいいものでした。

最初の「講義」は担当の二人が本当に見事な掛け合いをしてくれて、Fantastic Singing Show へのイントロダクションをしっかり果たしました。

講義担当チーム

次に上映した動画はこれからやるショーのメンバーを、リーダー学生がスカウトして回るという体の作りのものですが、その「リーダー学生」は実は実際にショーには出ていません。かれは今はアメリカに留学中だからです。ショーが決まった時、本番には日本にいられないので動画で出演する、ということにしたのです。こうして実際に in person では参加できない者もふくめて靜ゼミ総出演を実現しました。動画を編集したくれたのは演劇部の学生で、アングルやカットの切り替えなどはさすがです。

本番直前、舞台袖で円陣を組んで「楽しみましょう!」

最初の  Let It Go . . . ハチャメチャ&シリアス。体重90キロ近い(?)エルサが髪を振り乱して会場を走り回る。ところどころもう音程もヘチマも超越。

続く Perfect. . .  打って変わって、生ギター+ピアノの伴奏にのせてしっとりと歌い上げる。ハーモニーが美しい。

そして This Is Me . . . The Greatest Showman のシーンを彷彿とさせるようなかっこよさ。

最後に会場を巻き込んでの We will rock you. . .  決めポーズ、決まった!

 レインコート手作り衣装の「オラフ」たち

 This Is Me チーム

Let It Go チーム

歌が終わった瞬間、本当は余韻に浸っていたかったのですが、私は審査員室に走りました。もう出ているに違いない審査結果をうけとり、別室で落ち着いて早く賞状を手書きするためです。審査員室で知らされた結果に少なからず心を動かされましたが、そんなことを言っている猶予はありません。一刻も早く受賞者氏名を書いて賞状を完成させなければならないのです。

高校生と大学生あわせて9人分の名前を書くのです。たかが9名なのですが、されど9名。ひとりひとり、一文字一文字、息を詰めるようにしてペンを動かしました。多少、線が曲がることもありましたが、ゼミ生の「ライブ感が大切です」という言葉を思い出し、無理やり自分を納得させました。途中でインクが切れてカートリッジをとりかえながら、なんとか明らかなミスはなく書き終えました。

もちろん満足のゆく出来ではなく、本当はスペアのもう1枚のほうも書いてましなほうを採用することも考えたのですが、すでにこの時点で15分が経過しており、とてもそんな時間はありません。ダッシュでホールに戻って、ようやく表彰式。

表彰式は感動的なものでした。表彰状を読んで渡す立場からは、受賞者の目が赤くなって涙がこぼれそうなのがよく見えてしまいます。特に大学生のほうは、ひとりひとり苦労して準備し、リハーサルが終わっても一人ホールに残って練習した姿をそれまで見ていたので、何度かこちらまで涙が込み上げそうになって抑えるのに苦労しました。

やった〜!

大学部門最優秀&優良賞を獲得した「靜ゼミの誇り」

ストリート的な英語とインパクトのある内容で学長賞に輝いた「リック」

こうして第20回のスピーチコンテストは大成功に終わりました。次回からは本コンテストは事実上英語学科の単独運営となります。さらに良いものにしていければと思っています。

司会の3名も見事でした!

この夜の、靜ゼミ打ち上げが最高に盛り上がったのは言うまでもありません。MCや照明音響などの運営もこなし、おまけにショーにも出演して大成功させ、さらにその上コンテスタントとしてもふたりとも賞を獲得できたのですから!  ひとり2役、3役の大活躍です。担当教員として本当に誇らしい気分にさせてもらいました。I love you all and I am lucky to have you guys in my seminar!

打ち上げに向かう途中、やりとげた表情のみなさん


Ita da ki maa soo!


こうしてみると歳も大差ないように見えるね



We will rock you!

We will rock you!



11/01/2019

英語スピーチにおける望ましい話し方:ゆっくりと話せ


先月始め、私は毎年招かれている中学生英語弁論大会の県大会で審査員を務めました。審査員は基本的にスピーチ原稿を見ずに、純粋にその場で聞こえてくる音声のみによってスピーチの巧拙を判断します。聞き取れない場合にのみ、原稿を確認することもあります。

音声だけ聞いていると、ときに何を言っているのかわからない箇所が出てきます。中学生が用いる単語であればもちろん100%私は知っています。その私に聞き取れない部分があったならば、それはスピーカーの話し方の問題です。よってわからない箇所があるたびに減点していきます。発音を減点するだけでなく自動的に内容も減点になります。なぜか?何を言っているのかわからないのですから、その部分の内容はなにもないのと同じだからです。

その大会では審査員は8名で半分が日本語ネイティブ、半分が英語ネイティブでした。審査結果の討議の席で英語ネイティブも含めて異口同音に言われたことがあります。それは、「なぜスピーチをするときに、大切な単語、大切な情報のところを早口で駆け抜けるのか?!大切な情報が聞き取れないではないか。」ということです。

大切な単語、対比すべき単語、強調すべき単語。それを早口で言ってはいけません。大切さが伝わらない、というだけでなく、「このスピーカーは単に原稿を全体として丸暗記しているだけで、自分がその瞬間、瞬間ごとに発している単語の意味がわかっていないのではないか?」という疑問が抱かれるからです。

とくに出だしの30秒、1分間くらいは、文と文の間、チャンクとチャンクの間に十分に間をとって、ゆっくり、わかりやすく話してください。聴衆が、あなたがどういう背景の、どういう種類の話をしているか、を十分理解してもらう土台作りがその1分間です。あなたは自分のスピーチを何度も繰り返して覚えているのでしょうが、聞く人は初めて聞くのです。

聴衆を置いてきぼりにするのでは意味がありません。いくら良い内容であっても、わかってもらって初めてスピーチには意味がでるのです。あなたのスピーチを聞いているのは英語ネイティブだけではありません。その会場の聴衆のほとんどは、あなたと同じ非英語ネイティブです。そういうノンネイティブの聴衆にも理解されるよう話すことが大切です。

重要な言葉は目立たせしましょう。目立たせるにはいくつか方法があります。(1)その単語の前後にちょっと間をおく。(2)その単語だけ、ゆっくり発音する。(3)その単語だけ、ピッチを上げて高い声で言う。もっともいいのは、これら3つを組み合わせることです。

これはnon-native speakerのための、non-native speakerによる英語スピーチコンテストです。公表されている審査基準にも、

The appropriate rate of speech and audience awareness
話す速度の 適切さと非母語話者の多い観客への意識

という項目があることを思い出してください。君たちは、聞いている人を意識して、ひとつひとつの単語を、そして特にメッセージの中でも大切な意味を担う単語を、聞いている人に大切に届ける、そんな話し方をしてもらいたいと希望しています。

ちなみに、冒頭で触れた弁論大会では、いちばんゆっくりと、噛んで含めるような、わかりやすい話し方をした生徒が優勝しました。