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3/11/2020

魚撃に行きました。

四谷の「魚撃」さんは稀有な店です。店内は書道家でもある店長が渾身の毛筆で書いたメッセージで埋め尽くされています。またリクエストした言葉をその場で色紙に書いてくれるという特別サービスもあります。

5年前、淡路先生を大東に迎えた時に二人で祝宴をあげ、それぞれの思いを店長に揮毫してもらったのが始まりでありました。


以来、我々のもとから英語教員として巣立っていく学生たちを、毎年この魚撃を会場にして既卒教員も集まって壮行し、それぞれが期する思いを色紙にしてもらう、というのを年中行事にしてきました。

今年も3月14日に開催すべく、昨年から店を予約して準備万端だったのですが、2月に入って新型コロナ感染の猛威。。。さらにはとうとう一斉休校という未曾有の事態にたちいたり、出席者が現職教員と教員予備軍であるということに鑑み、苦渋の選択ながら今回の壮行会は中止としました。

しかしこれから教壇に立って戦いを始めるあの子らに、あの力強い色紙をもたせてやりたい、という思いは諦めきれません。毎年やってきた通過儀礼を、特に有望株が多い今年の卒業生にだけできないのでは、残念すぎる。

そこで過日、個人的に訪れ、事情を話し、なんとかならないだろうかと相談したところ、なんと来店はできない9名の新卒教員たちのための色紙を用意することを店長が快諾してくれたのです!

飲食におとずれた顧客のためのエクストラサービスである色紙を、飲食にはこられない我々の教え子にも作成してくれるという店長の男気に、少なからず心を動かされました。

しかしそのまま単に好意に甘えているわけにはいきません。そして3月中にできる限り個人的に呑みに行こう、関係者にもできる限り個人的に呑みに行ってもらおう、と決意しました。現在の過剰とも言えるかもしれない自粛ブームによって打撃を被っている飲食店を可能な範囲で応援せねばという思いもありました。

というわけで、本当は3月14日に出席予定であった昨年の卒業生に声をかけ、社会人として個人の資格で自己責任で、ということで、本日、少人数で魚撃で会食してきました。はじめて注文したマグロかまの塩焼きは絶品であります。




見事に完成していた9枚の色紙を受け取りましたので、あとは3月中に何らかの手段で彼らに渡すことを考えています。

みなさんも、四谷「魚撃」、是非行ってみてください。



3/05/2020

VELC Test (R) が日本人大学生のプレイスメント等に有効であると確認しました。

2月28日、下記、論文を公刊いたしました。8年間のベルクテストデータを改めて総括的に分析してみたものです。受験していただいている大学の学力レベルに関わらず、個別大学の受験者集団をすくなくとも4つ、場合によっては5つの有意に異なる能力層に弁別していることが確認できました。

靜哲人(2020). VELC Test (R) 2012-19年度実施データの分析と総括.「語学教育研究論叢」第37号, 75-89. (大東文化大学語学教育研究所)
Abstract
The VELC Test®, a 120-item proficiency test developed specifically for L1 Japanese learners of English at tertiary level, has been administered across the nation for the past eight years. This paper analyzes and summarizes the accumulated data in terms of score distribution, item difficulty invariance, item discrimination, and person reliability/separation. Based on the results, it is argued that the test is reliable enough and well-targeted for the intended population of Japanese university students; its practically invariant and uniformly discriminating items separate an applicant group of any given university into at least three and sometimes four ability levels.

Key words: 英語熟達度テスト  VELC Test®   信頼性  項目安定性  受験者分離

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5. まとめ
 本研究はVELC Test®の本実施データが8年分蓄積したタイミングで改めてテストの性能や特性を確認するため、複数年度データに基づいて、(1)受験者スコアの分布状況、(2)項目難度の安定性、(3)項目のラッシュモデルへの適合度、(4)信頼性と受験者分離度、を調べたものである。
受験者スコアの分布については、試行段階のサンプルに基づいて設定した「全体平均が500で標準偏差が100」という開発時の想定からはややずれており、本実施の受験者は平均が475485程度、標準偏差が7080程度で分布していることが明らかになった。これは開発時には最上位クラスも含めて全国からより幅広い層の受験者の協力を得たことによると考えられる。想定した数値とのズレは、この程度のものであれば、本テストに関して特段の問題を提起するものではない。分布形状についてはおおむね正規分布に近く、ターゲットとしている受験層にたいして適正な難度のテストであると確認されたからである。
項目難度については、固定(anchor)を外した状態で別々の集団によって改めて推定した2セットの項目難度の相関係数はr = .980.981と高く、実用上十分な安定性、準不変性が確保されていることが示された。
ラッシュモデルへの適合度については、Infit Mean Squareの値が確認したすべての項目について適正な範囲に収まっており、いずれの項目も測定のために重要な役割を果たしていることが明らかになった。すでにトライアル段階でのべ5,000名を超える受験者のデータにもとづいて取捨選択された項目であったが、本実施されているデータでも改めて項目の適正さが示されたことは価値がある。
信頼性および受験者分離については、複数大学を合わせた大きな集団(N = 1,000)と、個別大学の比較的小さな集団(N = 149319)で検証した。大きな集団で見たときには信頼性は .93ほどで、全体の受験者を5ないし6つの統計的に異なるレベルに分離していることがわかった。個別大学で見たときには、信頼性は .86.92ほどで、当該大学の受験者を4ないし5つの異なるレベルに分離していることがわかった。個別大学については、実際に受験しているなかで最も熟達度の低いレベルの大学(TOEIC® L&R平均 340程度)でも、最も高いレベルの大学(同 620 程度)でも、天井効果や床効果は見られず、おおよそ4階層と、学内のプレイスメントを考えたときには実用上十分な程度の受験者分離に成功していることが確認できた。
以上全体として、VELC Test®は日本の大学で学ぶ学習者の英語熟達度を測定するツールとして有効的に機能していることが改めて確認できたと言える。





2/24/2020

アメリカ発音を真似する必要はない

(学生向け)

学生によくある誤解を正したいので書いておきます。それは、私は発音や音声を重視する英語指導を提唱していますが、アメリカ人(だけにある)発音を真似することを目指しても求めてもいない、ということです。

目指し、求めているのは、英語という言語が英語であるための最低限の音声上のコアです。国際語としての英語(Englsih as an International Language; EIL)を目指し、求めていると言っても(私にとっては)同じことです。

だからアメリカ英語だけにあってイギリス英語にはない特徴や、オーストラリア英語にだけある特徴や、イギリス英語だけにある特徴などの習得を生徒に求めることはありません。

この観点ならみて、英語を教える時の最も頻繁にみられる誤解は以下のふたつです。

(1)Rはいつでもどこでも大事だ、と教える誤り

日本語ネイテイブが英語を学習するとき、日本語にはひとつしかない流音(=ラ行音)を、LとRに分化させることは何よりも大切です。しかしRというスペリングがあれば機械的に「Rだ!気をつけよう!」と生徒に呼びかけるのは誤りです。

後に母音が続くR (例 rain)はどの英語でも発音されますが、母音の後に続くR(are, fair, door, core, there, here)を発音するのはアメリカ英語だけで、イギリス英語やオーストリア英語では発音されません。よって国際英語の観点からは習得は必須ではないのです。

もちろん「アメリカ発音を真似したければこうだよ」と教えるのはいいのですが、それはあくまでアメリカ発音だけの特徴だということをわきまえておかなければなりません。いわんや、グルグルでの発音チェックのポイントにするなどは的外れだといえます。Rを言わないなら言わないでも立派な英語なのですから。

(1)Tはラ行で発音せねば本物の英語でない、と教える誤り

Let It Go は「レリゴー」と表記されました。Letの語末のTが、有声化してたたき音になり、日本語のラ行とほぼ同じ音になっている現象を、カタカナで表記したわけです。同じ現象が、partyが パーリ betterが  ベラ not at all が ナラロー と聞こえるときに起こります。

しかしこのT音の有声化はイギリス英語では起こりません。イギリス英語ではTは「きちんとした」無声音として発音されるので、Let It Goは、「レティ...」ですし、partyは「パーティ」(しかもR音はなし)、betterは「ベタ」です。つまり国際英語の観点からはこのTの有声化も習得必須項目ではありません。

これもアメリカ人っぽい発音になりたい生徒には教えてやればよいが、そうでもない生徒味は必要ない項目です。

そういう発音がなされるアメリア英語を聞く機会はおおいので、リスニングの観点から聞いてなれておくことは必要ですが、発音のフェイズにおいても「これが本物の英語だ」的な姿勢で生徒に習得を強制するのは根拠がありません。

まとめ

リスニングの指導のときに様々なタイプの発音に触れさせるのは大切です。しかしスピーキングに際しては、まずはすべての(ネイティブ)英語タイプに共通な音声項目に絞って習得させましょう。「アメリカ人っぽい発音をしたい」「イギリス人っぽくしゃべりたい」「オーストラリア人を真似したい」という個人的希望に応じるのは、あくまでその後、オプショナルなことがらです。母音後のR音、有声化するT音は、英語のコアに含まれていない、「お好みでどうぞ」のオプションです。


2/23/2020

リスニングの教科書、ゲラ刷り校正に入りました!

1月に脱稿した『リスニングの教科書』ですが、PDFでのゲラ刷り校正の段階に入りました。300ページの力作になっております。我ながらなかなかいいんじゃない(^^)?

同時にシリーズ第3弾、『単語の教科書』も強力な著者を得て(私は監修役)順調に進んでおります。音声を基本にすえた単語集は本邦初でしょう。

どちらも乞うご期待!

2/21/2020

小学生英語に特化した英語発音動画シリーズ完了しました!撮影が ...

ついにやりました。3〜10分 ✕ 72ユニットの、英語発音に苦手意識をもつ小学校の先生向けの動画シリーズの撮影が完了しました。

ひとつひとつのユニットは次のように始まります。
Hi guys! What's up? みなさんこんにちは。靜です。Welcome to my English pronunciation workshop customized for Japanese learners of English. このワークショップでは、日本語ネイティブの私が、日本語ネイティブの皆さんの英語発音を、なんとなく通じにくかったカタカナ発音から、文脈がなくてもラクラク通じる英語らしいReal Englishに変えるためのコツを、ゼロから予備知識を前提とせず、お伝えしていきます。単語や例文は小学生に教えるために厳選。日本語ネィティブ視点の面白・発音練習も満載です!子どもたちにも受けますよ!それでは始めましょう。Here we go! 今回のテーマはこちら!

72ユニットの構成はおおよそ次のようです。まず子音と母音の分離から始めて、主要な音素を導入します。子音連結は実に15ものユニットをかけて特に入念に練習して母音挿入を撲滅し、分節要素の後はリンキングもタイプ別に慣れてゆきます。

一通りの音を入れたあとは、トピック別の15のユニット(好きな季節、好きな動物、なりたい職業、行ってみたい国 etc. )で、小学生に教えるのに必要な語彙や構文を使って音を総ざらいしていきます。

さらに3つのユニットでいわゆるクラスルームイングリッシュとして、子どもに指示を出したり、発表を褒めたりする表現を練習。最後はもちろん . . . 歌です。

これまでジャパンライムさんで制作してきた英語教育DVDにはすべてその時々に教えていた学生に出演してもらってきていましたが、今回も例外ではありません。大東文化大のI君と学習院大のMさんのふたりにアシスタント /発音モデルを務めてもらいました。ふたりのキャラクターがうまく噛み合い、狙い通りメリハリとパンチの効いたバラエティに富んだ映像が撮れました!


"Let's take a pause and pose for a photo!"
(長母音の pauseと 二重母音のposeの対比の例文)

映像にバラエティがあるぶん、これからの編集作業が大変そうで、ジャパンライムさんにはご苦労をかけるようですが、完成を楽しみに待ちたいと思います。小学校の先生方も、乞うご期待!

すべての撮影が終わって、「やった〜!」の表情

2/16/2020

小学校で英語を教えねばならないのに発音に自信のない先生、よいニュースです。

小学校で(小学生に)英語を教えているのだが自分の発音にいまひとつ自信のない方はいませんか?そのような方にぴったりの解説・トレーニング動画の撮影を来週開始します。

日本語ネイティブならではの視点による効果的な70ユニット超の動画シリーズとなって配信される予定ですので、乞うご期待!

こういう英語授業関連動画は、これまでその時々で教えていた関西大、埼玉大、学習院大、大東大の学生に出演協力してもらって作成してきましたが、今回は大東大と学習院大の学生のコラボになります。

利用しやすく、役に立つものになるようベストを尽くしますので、乞うご期待!

2/15/2020

ベルクテストデータ収集で他大学生の協力を仰ぎました

ベルクテスト関係の研究のために、現在データ収集を行っているのですが、そのために学習院大学の学生が協力してくれ、大東のキャンパスに来て大東生と一緒にベルクを受験してくれました。

大東の靜ゼミ生と学習院の靜授業の学生が一緒に写っているという珍しい一枚: