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6/23/2012

大事なのは品詞の名前じゃなくて品詞の実態

心技体のなか(p. 114) で、品詞はそれほど気にしなくてもよい、という記述があるのに対して、

学部生が、

「接続詞と副詞を区別しないと、生徒が、

I like English therefore I study English.

のような文を書いてしまうのではないか。区別は教えたほうがいいのではないか?」

というコメントを書いて来てくれました。

大事なことなので、コメントします。

文法用語を知っている、理解していること、と、文法を知っている、理解することと、ははっきりと別です。

ある語が、「接続詞」というラベルをもつ種類の語なのか、「副詞」というラベルをもつ種類の語なのか、を知ることと、接続詞は接続詞として正しく用い、副詞は副詞として正しく用いる、ことは別であって、連動はしません。

therefore というのは、

I like English. Therefore, I study English.

と用いる語であり、

so は、

I like English, so I study English.

と用いる語だ、

ということを学習するために、

therefore が「副詞」と呼ばれる語群の仲間であり、so が「接続詞」と呼ばれる語群の仲間である、

という知識は、まったく必要ありません。

必要ありません、というよりも、むしろ話(因果関係)が逆なのです。

therefore と  so が、上のように使われるのは、それぞれが 副詞だ「から」、接続詞だ「から」 ではなくて、

上のように使われる語だ「から」、それぞれ「副詞」、「接続詞」と文法学者があとから名付けることにしたのです。(だいたい、他の品詞に分類できないものをいろいろまとめて「副詞」にした、そうですよ)

つまり、

使い方→名称

であって、

名称→使い方

ではありません。

すなわち、becauseや、although や、however, や for や butの品詞名称を知らずともそれぞれの使い方をそれぞれ学習することは十分可能であって、それぞれの使い方の「名称」(=品詞名)を知ることは、その必要条件ではまったくありません。

大切なのは、

oooooo. XXX, ooooo.

という形で使うのか、

oooooo XXX ooooo.

という形でつかうのかを多くの例文に接する中で身につけてしまうことです。

日本語の 「~段活用」という「名称」を覚えることが、そのタイプの動詞を正しく使うことの必要条件ではないのとまったく同じです。

もちろんみなさんの中には、文法好きで、分類が好きで、文法用語をきっちりおさえて、英語を学習してきた人もいるのでしょう。それはそれでアリです。

しかしそのアプローチはすべてではなく、むしろ、私の考えでは、「文法用語は知っていても、文法的な文が作れない」というよく見られる学習者を多く生みだす原因のひとつになっているものです。

品詞だけでなくて、文型の番号(第~文型)なども、まったく要らない知識です。

第5文型だろうが第4文型だろうが、第8文型(?)だろうが、A文型だろうが、B文型だろうが、ラベルなどはどうでもいいのです。

要は、

Call me a taxi.

はタクシーを呼んでくれ、という意味で、

Call me Ken.

はケンと呼んでくれ、という意味である、とわかることがポイントなのですから。

力のある教員とは、文法用語の使用は必要最小限で、文法をわかりやすくズバリと教えられる教員です。文法用語は、使わないで済むならそれに越したことはない、が鉄則です。

むつかしいことをやさしく教えるのがよいのであって、やさしいことをむつかしく教えてしまっては英語嫌いを増やすだけです。

将来、高校教員になって、文型の番号を答えさせたり、不定詞の用法の名称を書かせたり、品詞の名称を書かせたりする本末転倒テストを作る教員にはならないでください。

それを覚えることが英語力につながるのだ、という誤解をもった生徒を再生産しますから。