ALTに対する基本メッセージとして
(1)授業前にJTEの発音をきちんと直してやってくれ
(2)授業内でも単に good を連発せず、良し悪しをきちんと伝えてくれ
(3)生徒に対する説得力を増すために、カタカナ語を日本語的にも読めるようにもなってくれ
(4)カタカナ発音の生徒がいたら、通じないフリをしてくれ。それは日本人にはできないから。
と要望し、あとは日本語をモーラごとの強弱と長短を変えずに、日本語らしく読む練習をしてもらった。JTEとペアで座っていたのでJTEにはALTが英語を英語らしいリズムで読む練習をさせ、ALTにはJTEが日本語を日本語らしく読む練習をさせる、というペアワークをやってみた。
全体としての感触はよく、基本的には納得してくれたと思われる。
質疑で、「生徒にスピーチの発表をさせて、自分はここが悪い、あそこが足らないとアドバイスを書いてやりたいのだが、JTEが、そんなことは書かずに Great! と書いていればよい、と言う。生徒に対して正直でありつつ、かつ自分が職を失う(笑い)ことがないようにするにはどうでたらいいですか?」
という笑えない質問がでてきた困った。
また1点、勉強になることがあった。
破擦音と摩擦音の対比の下りで、Do you have A's? には Yes. と答え、Do you have AIDS? には Noと答える、という、日本人教員には以前から実施していたペアワークをしたのだが、それについて講演後の帰り際に駐車場まで走ってきてくれたアフリカ出身のALTが、
自分の国では、Do you have AIDS? という質問自体が差別と受け取られることがある。having AIDS が問題だ、という認識自体が差別だと思われるのだ。だから今後は、A's / AIDS の代わりに、bees / beads などでやったらどうか。
とサジェスチョンをしてくれた。
なるほど。どうもありがとう。 medical condition であることを超えて、AIDS は社会問題でもあるわけである。発音練習のためとはいえ、ジョークっぽく扱うのは不適切であったな、と納得した次第である。