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2/20/2019

とうほうにくれたとうほうはとうほうさつえいじょにとうほうでいく

家人から、「地下鉄の英語アナウンスを聞いていると、都営大江戸ラインが、どう聞いても東映大江戸ライン、としか聞こえないのだが、なぜか?」と質問された。

つまり「とえい」がなぜ「とーえい」になるのか、という質問である。

それは英語には「と」と「とー」の区別がないからである。そもそも英語ネイティブは、「と」と「え」と「い」を対等に、同じような長さと強さで平板に、「とえい」もしくは「とえー」と言うことが、デフォルトではできない。

どうしてもどこかにストレスを置かざるを得ない。そこで一般的には最初の音節の「と」にストレスを置く。

そして英語のストレスの本質は、「高さ」と「長さ」なので、「と」がその後よりも「高く、長く」なるので、この時点で、「と」でなく「と〜」になってしまう。

かくして、「とえい」は「と〜えぃ」となり、「都営」には聞こえなくなってしまうのである。

うちの学部の英語ネイティブにはかなり日本語が達者な人もいるが、それでも彼らが言う「授業」は、やっぱり「じゅ〜ぎょ〜」で、どちらかと言えば、「十行」に聞こえるのである。


  • 樹上と十条
  • 需要と重要と授与
  • 叙情と情状と徐々
  • 徒歩と当方
  • コウゾと小僧と構造
  • 誇示と工事
  • 故郷と皇居と公共と故居


など、本来の日本語では高低アクセントの型が違うペアもあるが、英語ネイテイブにとってはそんな微妙な区別などできるわけもなく、いずれも

じゅうじょう jujo
じゅうよう  juyo
じょうじょう jojo
うほう  toho
うぞう kozo
うじい koji
うきょう  kokyo

となってしまい、区別がつかないのが普通である。これらの区別をつけられる英語ネイテイブの日本語スピーカーは、よっぽどの達人だ。

区別がつくのは文脈があるからで、聞くわれわれはいちいち文脈から推測して、「AのはずはないからBだ」と頭の中で修正しているのだ。できれば、そんな修正をいちいちしなくてもせずに済むほうが、聞き手としては嬉しいのは当然である。

逆教訓:われわれ日本語ネイティブは、英語を話す時、アクセントのある部分を高く、長〜く、言わないと英語らしく聞こえない。詳しくは→『発音の教科書』で!