語学教育研究所編著『英語授業の「型」づくり:おさえておきたい指導の基本』が出版されました。
授業方法について教員志望の学生に推薦したい一冊として、ついに決定版に巡り合ったという気がします。英語教育を取り巻く学問分野は多岐に渡りますが、あれもこれもと欲張らず、「英語ですすめる英語授業を効果的に行うための基本のパターン、定石にはどういうものがあるか」にテーマを絞って、いずれ劣らぬ授業の達人たちがそれぞれの実践から導きだされたエッセンスを記した本です。
一読して、授業実践のために要らないことは書いてなく、要ることはすべて書いてある、という印象を持ちました。
オーラルイントロダクションの実際のスクリプト例や板書計画例は、学生のみならず、現職の先生方にも大いに参考になるでしょう。
私個人が最も関心があるところの音読指導に関しても、学生に伝えたいと私が考えることはすべて要点を絞って尽くされています。特に、chorus reading、buzz reading、individual readingのすべての段階において、発音やリズムなど音声面で直すべきところでは躊躇なく直すべきだ、と繰り返し述べているのがありがたいです。
「確かに、改善点を指摘されないほうが生徒は心理的には楽かもしれません。まして、欠点ばかりを滅多斬りにされれば、学習に背を向けることもあるかもしれません。しかし、より上手く読めるようになりたい、という気持ちはどの生徒も必ず持っているはずです。惚れ惚れするような発音で教師がモデルを示せれば、そういう気持ちは一層強くなるでしょう。そういう潜在的な希望に応えるためにも、教師は生徒の様子を見ながら、できる限りのフィードバックをするのが努めだと言えます。」(pp. 100-101)
まったくその通りです。多くの学生や先生方にぜひ読んでいただきたいと思います。