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6/17/2018

阿部公彦さんの本、良い本でした。

めずらしく一気に読んでしまいました。100%の同意はできませんが、良い本です。


「4技能主義」を批判する本だという噂だったので、実際に読む前はどうなんだろうと思っていましたが、「ネオ4技能主義」(=エセ・ペラペラスピーキング礼賛)を批判しているのであって、ライティングが最も高度で、スピーキングができるようになるには文法も大事だ、という当たり前のことを打ち出しているのである意味安心しました。

しかし単行本で、これだけ安河内哲也さんとか、松本茂さんとかの実名を挙げて批判するような著者には初めてお目にかかった感があり、軽い衝撃がありました。こういう先生がもっともっと増えると風通しもよくなるでしょう。

(私ももっともっと実名挙げて批判しようかな。。。(笑))

ただ私は、「ネオ4技能主義」者ではないですが、旧来の英文和訳させる個別大学の入試と、業者テストのどちらかを選べ、と言われたら、後者を選びます。

英文和訳大学入試が高校英語授業に与えている弊害と誤解と負のbackwashと、4技能業者入試が高校英語授業に与えるであろう弊害と負のbackwash を比較すれば、明らかに後者が小さい、と思うからです。

授業である程度以上のレベルの英文をきちんと読ませるとき、きちんと意味を取らせる時に、和訳(日本語による解説)を利用しながら行うのは不可欠の場合が多いですが、それはあくまで英語に迫るための手段のはず。

意味がわかった後はすぐにその文(の一部)を音読したり read and look up したり、より平易な英語にパラフレーズしたり、という作業は不可欠です。

ところが多くの(many)高校の先生がたが、和訳への到達が自目的化しているような授業を行っていて、音読さえもゼロみたいな場合(→ゴキブリは死なず)も決してめずらしくない、という実態を知っているので、ハイステークステストへのスピーキングの導入が、その歪んだ英語授業の振り子を多少なりとも正常な方向にもどすることを期待するのです。

しかし、本来は民間業者に丸投げするようなみっともないことはせず、大学入試センターで、「このテストに的を絞って対策することがすなわち本質的な英語力を上げることになる」ようなテストを開発するのが、国家のあるべき姿だと思います。やる気になれば十分できるはず。

大学入試の改革のための有識者会議に民間テスト業者関係者が入っていてその民間テストが大学入試を受注した、などはとても現代日本のこととは信じたくない、発展途上の三流汚職国家のできごとのようです。いや、ふと見渡してみれば日本はすでに三流汚職国家か。