みなさんこんにちは。靜哲人(大東文化大学)です。
「英語は英語で教える」ことが言われています。が、「英語で」行われている公開授業を見てみると、単なる指示(クラスルームイングリッシュ)が英語、オーラル・イントロダクションだけが英語、理解の確認のためのTFが英語、であることがほとんどのように見えます。
つまり単なる授業運営のための指示や、本文理解後の「ポスト・リーディング活動」だけは英語でなされていますが、本文自体を細かく読み解いてゆくという、本当は英語授業の核である部分は、たんにスラッシュをつけて音読して終わり、のように、ほぼ無視されているのが現状のように思えます。
また音読の大切さは言われていますが、その指導に関しては、立って音読させるとか、前、右、後ろ、左を向いて音読させる「4方読み」とか、ペア音読、とか、繰り返し音読させるための、いわば「小手先」のテクニックが多く、音読を繰り返した結果、生徒の口から出てくる音声の質が、より英語らしくなる、ためのノウハウはほとんど取り上げられていないと思います。
「アクティブ・ラーニング」の名のもとに、見せかけは「生徒の動きが派手な」、授業、たとえばゲームやらディベートやらをメインに据えた授業は多いですが、その「アクティブ」に活動している生徒の口から出ている英語は、音声的には泣きたくなるほどお粗末である場合がほとんではないですか?
そのような現状分析にもとづいて、この度、DVD2枚組『英語は英語で、しかもリズミカルに教えたい!』を制作いたしました。
検定教科書を使いながら、英語で授業をすすめ、そのなかで生徒の英語音声のプロソディを向上させるためのノウハウを提案する、のがコンセプトです。
中学編と高校編があり、どちらも中学ないし高校の検定教科書の本文(各1パラグラフ程度✕5レッスン)とオバマ大統領の広島スピーチから5箇所(各50語程度)をとりあげ、(1)「英語を英語で噛みくだく」「英語プロソディを意識させるリズミック音読」という2つを柱としています。
各レッスンの構成は:
(1)本文を私が音読
(2)本文を1文ごとに英語でかみくだき
(3)生徒役をたてて実際の授業風インタラクション
(4)本文のリズミック音読
です。
(2)「英語でかみくだき」では、
(a)難しい語を別の語で言い換える、
(b)長く複雑な文はそのもとになっている構成要素に分解する、
(c) 抽象的な内容は具体例を出す、
(d)行間にあるものを補う、
(e)身振り手振りを活用する、
などを行っています。たんなるClassroom Englishだけの「なんちゃってオールイングリッシュ授業」から一歩踏み出すヒントにしていただくことを意図しています。
私のかみ砕きを視聴してから、2度目は音声を消して画面にあわせて「かみ砕き」をご自分なりに再現してみる、などの使い方もできると思います。
また高校編では使用しているパワーポイント画面も工夫しました。高校では1文が長いため、修飾関係を立体的に表せば生徒にも理解しやすくなります。しかし凝った枝分かれ図を毎日の授業に準備していられないでしょう。
そこで、単に長い文をベタ打ちしたものチャンク毎に改行し、かつその行頭の位置を工夫することで、文の中の階層構造を表すシンプルな方法を考案しました。
作成も手軽で、かつ単にチャンクを縦に並べたものよりも格段にわかりやすくなっています。ぜひ実際に御覧ください。
(3)「授業風インタラクション」は、
「意味を重視したやりとりをしていると、発音指導までできない」と誤解している先生に是非見ていただきたいです。内容理解のやりとりや発表をしている最中でこそ音声的フィードバックをしないと、生徒の発音は永遠に変わりません。流れをこわさない、それぞれ1秒で終わるピンポイント発音指導を、インタラクション中に入れ込んでゆく実際を是非盗んでください。
(4)「リズミック音読」は
「教科書の本文でどうやってリズムの指導をしたらいいだろう」「高校は本文が長いから音読なんか暇がない」と思っている先生に見てほしいセクションです。本文中の重要文を抜き出して、徹底的にリズムを重視した音読練習を楽しく行います。リズムを体感するために、
- l バレエ風の踊り、
- l 柔道のうちこみ、
- l 空手の正拳突き、
- l 剣道の素振り、
- l 指揮棒を使った指揮、
- l 楽器のボンゴ、
- l サッカーのリフティング、
- l 縄跳び、
- l ペアでの花いちもんめ、
などさまざまな身体動作を取り入れています。ご自分のキャラにあったもの、ご自分の生徒にあいそうなものもきっと見つかるでしょう。
是非手にとって御覧ください。
また過去に作成した以下のDVDもきっとお役にたつことと信じています。あわせてご利用ください。
『英語発音の達人ワークアウト「Englishあいうえお」(全2枚セット)』
主要な母音、子音を楽しく身につけるための、他では決して見られないユニークなエクササイズの数々。「Englishあいうえお」「English五・七・五」「English三三七拍子」などなど。エクササイズの作り方を盗んでオリジナルのエクササイズを作ってみてください。
『リズムで体感!重要構文~ABCから仮定法まで~(全2枚セット)』
入門期から高校レベルまでの題材を使って、What、Howなどを使った疑問文、不定詞、比較級、現在完了、仮定法などの主要な重要表現を、すべて「リズムを体感」しながら身につけよう、というもの。投げ込み教材の宝庫といえます。
『英語授業の3形態:一斉、ペア、そしてグルグル(全3枚セット)』
研究社から出した『英語授業の心・技・体』の内容を著者として実演したものです。一斉授業、ペアワーク、グルグル活動でコツや注意すべき点を、実際に生徒役を立ててデモンストレーションしています。書籍だけではわからないテンポを理解していただき、ぜひ「グルグル」にチャレンジしてみてください。
(以上)