4日間の大阪ブートキャンプに参加したなかに、勤続8年目の小学校の先生がいた。終了後の感想を書いてくれるよう頼んだところ、長文の、内容の非常に濃いコメントを寄せてくれた。
小学校の先生がこれだけ多く学んでくれて、これだけ大きく成長してくれるなら、このキャンプはやる側としても大いにやり甲斐があるな、と感じさせられる。
以下、ご本人の了解を得て、一部紹介する:
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先生の授業で心に残ったことと共に私の感想を追記し、感謝の言葉に代えたいと思います。
■ 授業は稽古である。子どもを高めるために教師がいる。ためらわずに指導し、高まったら褒め、できてなかったらできるようになるまで手を変えてできるようにさせよ。それが教師の仕事だ。
この言葉は、大変重い言葉でした。子供たちの伸びは、教師の[力量に]規定されるということだからです。同じ子供でも受けている授業や指導者がちがうと同じ時間授業を受けても伸びがちがってきます。教師には、何よりも「モデル」を堂々と示せる力、子供のパフォーマンスを即時に「白黒」「○×」と判断する力、子供のパフォーマンスが×→○になるように複数の指導オプションを即興的に魅力的に示せる力が問われているのだと感じました。今後、このことを頭に入れて、大学で学んでいきたいです。
■ いかに使えるようにするか、何を使えるようにするか
靜先生の授業は、体育のようでした。小学校で体育を教えるときも、私がいつも考えることは、「いかに運動量を確保するか、汗をかかせるか、動きのポイントを意識して練習するか、友達とのやり取りを入れるか」です。靜先生の英語授業もいかに「英語を使わせるか」「英語を聞かせるか」「英語の音素、リズムやイントネーションを意識させるか」「何をパフォーマンスさせるか」ということを重視しておられるように感じました。
しかも、ただ言えるようになればよいのではなく、その英語の表現や内容が「使うに値するか」を教師が事前に判断し、教材にしていることも大事にされているのだと思いました。小学校で指導するときも、ただ言えるようにするだけでなく、子どもたちの生活で、また興味に合わせて実用的であるか、また覚えるに値するかを考えながら、子供に示す英語も精選していきたいと思いました。
■ 好きなことを好きなように楽しむ
先生は、本当に授業が好きなのだと感じました。私も授業が好きですが、先生は、CMを見て指導法を思いつくだけでなく、実際に形に落とし込み、実際にやってみて、指導法を振り返るところまで「やり切」られます。この点が私が足りないところだと感じました。「~ができるかもしれない」と思ったら、形にして授業をやってみること、ここから何かが生まれるのであり、「~ができるかもしれないな」というレベルでは何も生まれないのだと思いました。
We are the World の先生のラップビデオや 一本満足バーのビデオを見て、本当に先生は授業が好きなのだと、また英語が好きで、楽しそうで、いいなぁと思いました。この視点を私も忘れずに授業をやっていきたいです。この1年は大学ですが、私もこの集中講義を終えて、早く授業がしたくなってきました。
■ 愛情を与える
先生の著作に『英語授業の心技愛』がありますが、「愛」の部分を感じました。それは、生徒を「できるようにしたい」「少しでも次のレベルに引き上げたい」「そのためにとことんつきあう」という愛情です。子供が好きとかかわいいとかそういうことは大切ですが、本当の意味での教師の愛情とは、生徒は「適切な指導さえすればできるようになるものだ」ということを信じ、生徒ができるようになるまで時間を割く、手間をかける、指導をとことんする、できるまで面倒を見るということが愛情なのだと先生の姿を見て思いました。この点を忘れずに小学校での英語に限らず、教師として過ごしていきたいと思いました。
■ 自分でリズムを作れる、自分でできるようになるとは教材を自作できることだ
私は、これまでの自分の英語学習歴を見てきたときに、先生のような授業を受けたことがありませんでした。もちろん発音やその時々の教科書の読み方などは習いましたが、「では、この文ではどういうリズムで読めば英語らしいリズムになる?」にはこれまでなら、なんとなくそれぞれの単語を一生懸命読んでいるだけだったでしょう。それは、英語独特のリズムの特徴とポンポンメソッドの知識を知らなかったからだと思います。
英語は強弱・長短のリズムがあること、そして、ポンポンメソッドが自分で意識して分かれば、初めての文でもこのようなリズムで読んでみよう。このような読み方で読むと7拍で1拍休んでいい感じにおさまるぞ、と練習できます。このことを知り、できるようになった(はず?)ことがこの集中講義の自分の中での大きな成果のひとつです。これまで小学校でチャンツの指導をしていたときに、「このリズム言いやすいわー」と漠然と思っていたことが、おそらく今後は説明できます。そして、そのようなチャンツのようなリズムを今後は少しは自作できるはずです。
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こういう学びを経た彼が、また自分の子どもたちに向かうときが楽しみである。