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10/07/2012

文法用語を教えないでも文が書けるようになるんですか?

(英語科教育法を受講している学生へのメール)

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◯◯君、メールありがとう。

文法用語については、基本姿勢は、

用語というよりも、その用語が表している現象を理解させる

ことが大切です。

で、そのためには、用語は精選して、必要最小限に抑える必要があると思います。

それから、文法(の参考書)というのは、いろいろ言語を分析して分類した結果を記述するのが仕事なので、ややもすると分類のための分類になる傾向があります。

例えば、現在完了の、完了、経験、結果というのも、

have + 過去分詞

で、今現在、すでに終わっている、という状態を持って(have)している

のが本質であり、それが文脈によって、

終わっているという点が焦点になったり

そういう経験をしたとうい点が焦点になったり、

今までずっと続いていた、という点が焦点になったりする

とも考えられます。

だから指導にあたっては、いたずらに分類のラベルをつけさせるというよりも、have + 過去分詞 がもっている本質的なイメージを伝える、のが大切なわけです。

また別の例だと、

It is ... for .... to ..

は、まず~だよ、と言ってから、何のことかというのを to .. 以下で説明するんだよ、

というのが必要十分な説明であって、

この it は仮主語という、というのは憶えても覚えなくてもいい用語、です。

別の例では、「現在分詞」の「分詞」ですが、君自身、分詞ってなにか説明できますか?これなどはまあ説明に多用されるから憶えておいたほうがいい用語とは思いますが、-ing形という用語を使おう、という主張をする人もいます。

すると、現在分詞は、 ing形の形容詞的な使い方、であり、 動名詞は、ing形の 名詞的な使い方、とも言えます。

またたとえば、分詞構文、独立分詞構文、付帯状況を表す云々。。というあたりも初心者にはとてもハードルの高い用語、それだけで難しく感じてしまう用語です。分詞構文は、 ing形の副詞的な使い方、という説明をすることも可能でしょう。

まあ、ともかく言いたいのは、文法を教えることと、文法用語のラベルを教えることは決してイコールでないこと、本当によい教師は、ラベルはなるべく少なくして、日常的なことばで、文法現象の本質を説明できること、が必要だということです。

だから、「用語」を知らなければ文が作れない、ということは、まったくないです。わかってもらえるかな?第◯文型、という番号をしらなくても、その◯文型の文を作ることは十分可能です。