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1/24/2013

toeic って読み終わらない?

先日、学部2年生から

「先生、toeic って、どうやったら時間内に全部読み終わりますか?」

と質問されました。

その場では、

「もっと速く読む。」

と答えて終わってしまったのですが、すこし考えてみます。

toeic は900点を超えるくらいのレベルになると、時間内に十分読み終わって時間が10分くらいはあまり、自信がいまいちない問題をもう一回見なおしてみる余裕がでます。

逆にいうと、その余裕がでると、900点を超えると思います。

ではどうすれば速く読めて、速く問題が解けるかというと、一部の問題集やtoeic
ハウツー本が進めるような、「全部読まずに要点だけ読め」とか「飛ばし読みしろ」とか「質問を最初に読め」とか、いう姑息な受験テクニックに習熟することではない、と私は思っています。

テストテイキングストラテジーはもちろん大切ですが、もっと大切なのは、ある単語を見た時にその意味がどのくらいの短時間で想起できるか、ということです。もちろん知らなければ想起できませんので、「知っている単語」の話です。

同じ「知っている」でも、記憶内に保持されている意味にアクセスして「ああ~という意味だ」と感じるまで、0.50秒かかるのと、0.25秒ですむのでは、よむスピードが倍違ってきます。単純計算ですすべての語に一律0.5秒かければ、100語読むのに50秒かかりますが、0.25秒なら
25秒です。

実際には機能語は内容語よりもアクセスが速いはずなので1律モデルは単純化に過ぎますが、平均すればそういうことです。

もちろん文の意味を理解するには、一つ一つの語の意味にアクセスするだけでなく、どの語とどの語がどのように意味チャンクを形作っていて、どのよような修飾関係になっているか、というのを認識することが必要なので、そのスピードも関わってきます。

His biggest problem was that he was not good at meeting new people.

などというひとつも「知らない」単語がない文であっても、2秒で読み取れる人と、5秒かかる人ではtoeicでも何百点もの開きになるはずです。

ではどうすれば良いか、というと、語彙力や文法力を伸ばすというときに、「まったく知らない語を、なんとか知っている語に」「まったく知らない表現、構文をなんとかわかる表現、構文に」するための、いわゆる「単語を覚える、増やす」という作業だけでなく、「知っている語」「わかる表現、構文」にたいするアクセス速度を上げる、意味が想起できるまでのスピードを上げる、ことが必要です。

ではそのためにはどうすればいいでしょうか。

意味がわかった文を、文章を、もういちど、もうにど、もうさんど、繰り返し読みながら、にどめよりもさんどめ、さんどめよりも4どめが速く読めるようにする練習してみてはどうでしょうか。
repeated reading ってやつですね。

ただし「飛ばし読み」ではないです。かならずすべての語に必ず目を停めて読みながら、です。通常のリーディングにおいては、ネイティブ・スピーカーでもすべての語に目を停めていることが知られています。ただその時間がものすごく短いだけです。

だから toeic の問題演習をやるとき、答えを確認して終わり、ではなく、最初によんで2分かかった文章を、こんどは意味がわかったのだから、1分45秒で読めるように、つぎは1分30秒で読めるように、といった「速黙読練習」をしてみてください。

すぐわかりますが、これはべつにtoeicだけの話ではなく、高校の授業でも同じことでしょう。例えば、Lesson 1 から 現在のLesson
までの本文を、定期的に速黙読してみる、などというのもよいトレーニングだと思います。

繰り返しますが、飛ばし読みではありません。きちっとすべての語を読み取りながらかつ速く読むこと、です。

それができるようになった段階で行う飛ばし読みは有効です。

が、きちんと読めない人が飛ばし読みをすると、たんなる雑読になります。

どこが大事であるかわかる、のは、大事でない部分も読めるからわかるのです。たんに飛び飛びに読んでいては、大事な部分を飛ばしているかもしれません。

◆知っている語の意味アクセス速度を上げるために、意味がわかった英文の速黙読練習をしよう◆