Total Pageviews

11/03/2015

語学番組のタブー

最近、数ヶ国語の語学番組を見ていて思ったことなのだが、語学の授業において生徒の発音を修正しようとすることは一種のタブーなのかもしれない。

その言語の素人あるいは初学者をスタジオに配して、学習者役として参加させるというのは、どの語学番組でもやっている。そしてその学習者役に問題を出して、文法的・語法的・語彙的に不完全な答えが出た時には、惜しいですね、正解はこうですよ、とネガティブフィードバックすることは、ひとつのルーティーンとして定着している

しかしその学習者役の出した答えが発音的に不完全だったときに、惜しいですね、正解の音はこうですよ、とフィードバックするのは見たことがない。(あったら教えてもらえますか。)

発音については別枠で発音コーナーを設けて、モデルを示して視聴者であるわれわれに発音するよう促し、それに対して表情で、グッド、などと肯定するといった演出は有るが、実際に発音コーナーとしてスタジオにいる学習者役にダメ出しをして向上させる営みを見せる、という場面はあるのだろうか。おそらくないのでは。

テレビの語学番組というのは、現実の語学授業の一種の象徴というか、ファンタジーというか、カッコいいところだけ取り出した抽象物というか、不純物を取り除いた架空のエッセンスみたいなものだと思うが、そういう場に、文法矯正はあっても、発音矯正がない、というのは、語学授業についてのわれわれ(=といってもは私は少なくとも除く)が抱いているイメージについて、ある重要な、いや重大なことがらを語っているのかもしれない。