のデータによると、日本人英語学習者の音読を分析したところ、(母音に関わる問題が子音に関わる問題の倍以上多く、)子音のなかでは /l/ に関わる問題が、/r/に関わる問題の3倍以上多かった、という。
/ l / がダメな場合が多いという自分の日頃の実感と一致しており、やはりそうなのであると再確認したが、次の記述には、ひっかかる。
". . . This indicates that pronunciation teaching should pay more attention to /l/ rather than the pronunciation of /r/, . . . " (p. 12)
音読のデータで、/r/の問題よりも、/l/の問題が多かった、という事実から、/r/よりむしろ/l/に注意したほうがよい、と結論づけるのは必ずしも論理的でない。なぜならこの結果は、/r/ にばかり指導上の注意が集まっている結果であると考えられるからである。 /r/にばかり注意しないで、もっと/l/にも注意しましょう、ならよいのだが、「r よりも l に注意させたほうがよい」という表現をしてしまうと、まるで r に対する指導努力をやめて、そのエネルギーを l に振り向けたほうが得策だ、と読めてしまう。
r に対する指導努力を今よりも減らしてしまうと r のパフォーマンスは落ちる。そしてそれは求める結果ではない。
彼らの結果から導くべき結論は、This indicates that pronunciation teaching should pay more attention to /l/ (than it does now). であると考える。