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2/17/2018

地に足の着いた「裏技」指導術

正頭英和君が、最新刊
『教師の負担を軽くする!
60の技で4技能を圧倒的に伸ばす
英語授業の裏技指導術』
(明治図書)

を送ってくれた。



「小・中・高どこでも使えるアイデアが満載!」というキャッチコピーに偽りはない。

教師は忙しいからこそ「生徒の力を最大限に伸ばしつつ、かつ教師の負担を少なくする」工夫が大切だ、というスタンスで、彼が自分で考え出し、試し、修正した、personally tried and tested の「裏技」をこれでもか、と公開した本である。

ただ「裏技」というタイトルから場合によっては感じられるような「正攻法ではない裏からの攻め」といったニッチな内容をあつめた本では決してない。生徒を教える時のバックボーンとなるべき根源的なアプローチ、正攻法を綴った本である。

「いわゆる研究であるようなデータや引用などはありません。それは私がこの本を教室実践に根付いた本として意識したからです。」

という宣言から感じられる、現場教員・実践家としての矜持、プライド、自信、確信、がなによりも光り、個人的にはこの部分が一番うれしい。

内容をちょっとだけ紹介すると、

「問題集を使った研究授業がしたい」
「中身が退屈であってもやり方しだいで刺激的な授業になる」
「必要以上に定着を求めない」
 etc. etc. . . .

正頭ワールド炸裂である。

そして思わず命名の巧みさにも唸ったのが、「代名詞音読」と「和訳先『渡さない』術」。これらが何を指すのかは本を買って確かめてもらいたいが、う〜ん、こういうのを自分で考えだせるのはすごいね。

生徒の力をつけたい「教師」には絶対に役に立つ一冊である。


2/13/2018

羽生結弦選手の記者会見を通訳をしていた方の英語発音について

平昌オリンピックで本番を前にした羽生結弦選手が会見を開き、現在の心境を説明しているところをテレビで見た。

プレッシャーに負けず、良い演技を期待したい。

報道陣が日本語で質問し、羽生選手が日本語で答えるのを、画面には映らない通訳の方(おそらくは日本語母語話者だろう)が英語で逐語訳していった。

プロの通訳なので英文はもちろんさすがと思ったが、発音面においては次の2つが繰り返し気になった。

Can you ... を キャンユー...  と言う。

tell us を terus   と言う。

日本語母語話者の場合にはプロ中のプロの通訳者でさえも、語末の Nの欠落や、LのRによる代替があるのだな、という事実を再確認した次第である。

2/09/2018

「トンデモ引用」が生まれる原因に関する理論的考察

一般論として、原典でまったく言っていないことを、「言っている」というトンデモ引用をしてしまう、という場合、その原因はなんだろうか。

理論的な可能性として考えられるケースをすべて挙げるならば:

(1)実は原典をまったく読んでいない。(原典を引用したものだけ読んだ、を含む)

(2)原典を「全部きちんと」は読んでいない。

(3)原典は「全部きちんと」読んだが、読み手の理解力が低く理解できなかった。

(4)原典は「全部きちんと」読み、理解力も問題ないが、まとめる力、パラフレーズ力が低かった。

(5)原典を読む(というかパラパラとブラウズ的に参照する)際に、虚心ではなく先入観をもって臨むため、自分に都合の良い情報だけを拾ってしまった。

(6)意図的にフェイク情報を流し、原典の著者を陥れようとした。

この他には思いつかない。

さすがに現代日本においては、(6)はないだろう。(1)の可能性はゼロではないだろう。(3)も(4)も、書いてある言語が母語で、しかも平易なことばで書いてる書籍の場合は、読者が普通の人ならばゼロに近いだろう。すると一般論として、可能性の高いものとして残るのは(2)とか(5)あたりになる。

ここで思い出すのが 2012年に山口県で英語教員相手に講演した時のことである。90分間にわたって力説したことは、いつもどおり、「フィードバックしてください。間違いを恐れずにドンドン話させよう、とだけ言っていないで、話させた後はトンデモ英語、トンデモ発音をそのままにせず、きちんと直してください」ということである。

それが翌日の山口新聞に紹介されたのが、なんと、「靜教授は間違いを恐れずに思い切ってしゃべって、と上達の秘訣を紹介した」という表現!

私の主張の180度逆である。これにはさすがにのけぞった。

抗議した結果わかったのが、その記事を書いた記者はその日他にも取材に回るところがあり、私の講演は最後まで聞いていなかった!ということである。それでレジュメを見て「適当に」作文したということだった。「適当に」作文するときに活躍するのが、先入観というかスキーマというか、「世の中には『間違いを恐れずにどんどんしゃべるの大切だ』ということを言うひとが多い、からこの教授も、そういういつもの話だろう」という思い込みである。

つまり、上の(2)と(5)のあわせ技であった。

この時、私を山口に呼んでくださった山口高教研の会長先生は責任を感じて山口新聞に抗議してくださり、ようやく、なんとか紙ベースの小さな訂正記事を出させることができた。しかし、ウェブ版の記事はそのまま。社の方針として修正はしないとかいう自社の都合を優先。それでも強硬に抗議したところ、結局、その記事全体を削除して終わり。謝罪らしきことば一切なかった。

詳細は→こちら


2/08/2018

『英語授業の心・技・愛』著者3人による討論(放言)会をオンデマンド配信します!

『英語授業の心・技・愛 -- 小中高大で変わらないこと--』
(研究社  2014)

といえば、正頭英和(ヒデ)氏、小林翔(セバス)氏と私のコラボによる共著ですが、この度、『心・技・愛』の内容をベースに、我々著者それぞれが自分が執筆した項目について語り、それについて他の二人が侃々諤々絡む様子を、ジャパンライム・オンデマンドで配信するということになりました。

といっても、制作はこれから。撮影は3月〜4月を予定です。

本を読んだだけではわからないニュアンス、本では言い足りなかったことなども盛り込んで、見て面白く、そして現場の先生に役に立つ映像にしようと、3人で意気込んでいます。

『心・技・愛』以後、ヒデもセバスも、あれよあれよという間に「頭角」を表し、それぞれ著書を次々にだし、研修会講師としても活躍する存在になりました。関大大学院時代の「師」としては嬉しく頼もしい限りです。

『心技愛』執筆時から5年間たち、一回りも二回りも成熟度を加えた二人との久々の真剣勝負!

乞うご期待!


持つべきものは、良き同僚かな。

→ 勝手にそんな代表選手にされちゃ

淡路先生、貴重な「証言」、痛み入ります。

プロファイル写真を『心・技・体』に更新しました

2017.7 教科教育法(英語)基礎A 最終日
本当は右隣に学生が並んでます

私が関大を去った 2009 年は、ちょうど『心技体』が発売された年でもありました。このTシャツは、私が関大を去る時に、大学院のゼミ生たち、外国語教授方法論の受講生たちが作ってくれて記念にくれたものです。(お〜い、関大大学院靜ゼミ生たち、改めて、ありがとうな!)

流石に普段来ていたらイタイおじさんなので、せめて、毎年、夏の教科教育法の授業の最終日にはこれを来て教え、最後に記念写真を撮るのが恒例です。

このTシャツをはじめて見るとたいていの学生はまず絶句し、あるいは笑いだし、つぎに「それ着て電車で来たのですか?」と、呆れたような質問を。

電車では上にGジャンを着てますからね。それに、実は最近は東松山キャンパスは車通勤なので、全然平気なのでした。

この『心・技・体』Tシャツを作ってくれた当時のゼミ生たち、いまもそれぞれ活躍してくれています。


2/07/2018

名誉毀損

名誉毀損とは、

「不特定または多数人が認識できる状況下で、人の社会的評価を低下させるに足りる具体的事実を告げて、人の社会的評価を低下させる危険を生じさせること」

とのことである。

ただし、この行為が、

(1)公共の利害に関する事実である
(2)もっぱら公益を図る目的で行われた
(3)摘示した事実が真実であると証明された

という3条件をすべて満たした場合には、損賠賠償は認められない、とのことである。

するとたとえば「あのラーメン屋はまずい」とネットに書き込んだ場合、それが真実であろうがなかろうが(というか、まずいなどという味覚上の価値判断が真実であると証明するのは不可能かと思われるが)、(1)と(2)を満たすことが疑わしいので、名誉毀損にあたる可能性があるわけである。

いわんやそういう事実がないのに「あのラーメン屋のラーメンにはゴキブリが入っている」と書いたなら、完全に名誉毀損であるわけである。上の(3)を満たさないからである。

「あの人は、あの時、◯◯の単語の中の/ r / の発音ができていなかった」とネットに書き込んだ場合、それが(1)公共の利害に関する事実であり(例えば公務員や公人が対象)、(2)もっぱら公益を図る目的で行われ(その事実を知らしめることが公益に叶う、例えば公教育や公教育政策に資する)、(3)書き込んだ事実が真実であると証明された(実際に / r / が接近音でなく、舌先が口内に接触していることが示された)、ならば(通常のことばの意味としての「名誉」は「毀損」しているのかも知れないが、その行為に関しては)法的な損害賠償は認められない、というわけである。