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4/29/2020

小学校の先生、待っていてください! いい英語発音の学習動画できます!

以前、撮影完了したとご報告したジャパンライムさんからリリース予定の動画ワークショップですが、その後、編集も大詰めに入っております。コンセプトは、

英語に苦手意識のある小学校の先生対象とし
小学生用の単語と表現を使って
予備知識ゼロからやさしく練習できる
日本語ネイティブ視点を出発点にした
日本語ネイティブによる、日本語ネイティブのための
面白くてためになる
子ども用のクラスルームイングリッシュも満載の
英語発音動画ワークショップ

完成してみると堂々、全73ユニット、たっぷり総6時間30分!

(我ながらよく撮りました。。。アシスタント学生ふたりも本当に頑張ってくれました。今思えばコロナがここまでひどくなる前に撮影できて良かった。)









完成までもう少々、お待ち下さい。乞うご期待!

4/28/2020

遠隔授業のスタンダーダイゼイションの行き着く先は?

今さらながら気づかされたけど、大学の我々はひとりひとりが独立した専門店みたいなものなので、遠隔授業もそれぞれが(ある意味)自由に組み立てて、それぞれでやればいいのだが、中高の先生方は、最低でも学年単位、学校単位、下手すると地域単位で組み立てて、教材も作成することが求められるのか。

複数の教師集団が関わってオンライン教材を作るのはいい点もあるけど、各教師の個性を殺すことが求められるので、そのクオリティは高まるとも言えるし、そうでないとも言えるだろう。ひとりひとりの教師が、自分の担当する生徒の顔を思い浮かべて、その生徒たちだけのために作るオンライン教材が理想だと思うのだが、そうもいかないか。

しかし「地域で統一」をすすめていくと「県で統一」「全国で統一」ということになって、結局既成のラジオ番組とかテレビ番組と変わらないことになり、クオリティは高いのだろうが、パーソナルタッチはないものになってしまうのでは。

4/26/2020

みんなが zoom 遠隔で戦国時代の始り?

大学も高校も中学も予備校も塾も子ども相手の英語学校もみんな遠隔(主に zoom)ってことらしい。こうなるとある意味、PC(またはスマホ)画面を通して、という同一の制約の中で、教育機関として何を与えられるか、与えられないか、が如実にわかってしまうだろう。

ユーザーというかクライエントというか生徒というか学生というかはともかく、お金を払って(払わない場合もあるが)教育を受ける側は、自分の目の前のスクリーンを通じて何が起こるのか、何を与えてくれるのか、を冷徹に評価するはずだ。

ある意味では異なる教育機関も同じモノサシで測られることになる。江戸時代がいっきに戦国時代に突入したような感じか?

遠隔授業でも高い授業料に見合った、またはそれ以上の価値があると思ってもらえるのか、授業料減額して欲しいという気持ちにならせてしまうのかは、ひとえに教員ひとりひとりの腕次第、ということになる。責任は重大である。

先日、友人が「オンライン英会話恐るべし!」という感想を伝えてきた。まあこっちは one on one じゃないから単純に比較はもちろんできないが、ああいう存在だって無視をしていたら、たぶん痛い目にあう。





オンデマンド動画は一回作れば、使い回しが効きます。そしてそれは良いことです。

「使い回し」は悪いイメージがある表現かもしれませんが、そんなことはありません。今、教職セミナーで教員採用試験にでた長文の解説動画を週に1本つくって配信していますが、それは来年以降もずっと使うことができます。(念のためいっておくと、それを配信したうえで、zoomのオンラインセッションもしています。)

5月から始まる授業でも私は教科教育法英語を2クラス持っていますが、オンデマンドビデオの作成は当然一回ですみます。そして来年以降も使えるはずです。それはいいことです。素晴らしい!

授業はサステイナブルでなくてはなりません。対面授業を2回する代わりにオンデマンド動画を1回作成するだけでセーブされた時間とエネルギーは、補助的にzoom やったり、個別フィードバックをするのに使えばいいのです。

講義を10人のクラスにやるよりも200人のクラスでやるほうが、良心的な教師ならストレスがあるでしょう。普通の大学生200人を集中させて聞かせるにはそれなりのテクニックとオーラが必要だからです。しかしオンデマンドビデオの作成時にはストレスはありません。教室のあそこで眠りにおちそうになっている学生を気にして近づいていって眠気を覚まさせる助けをしてやろう、とかそういう気遣いはいっさい不要だからです。ただこの動画を見ることになるだろう学生を想像しながら心をこめてPCに語りかけるだけでよい。

なので私は今年の基本はオンデマンド動画配信に置くことにしています。ただもちろん配信しただけでちゃんと全部見てくれるとは思えないので、全部見なければ困るようなしかけを動画のなかに入れますが。その詳細はすでに前のポストに書きました。


4/24/2020

30年の時と空間を超えて届いた色紙。

私は教員になって5年目、1988年に新設の大妻多摩高校に赴任しました。大妻学院が多摩市に新設校を作るに際し、千代田区三番町の「本校」大妻中学高等学校に在職していた教員のなかから各教科1〜2名の「イキの良い(?)」若手〜中堅が指名され、先遣部隊となったときの一名だったのです。

荒野の七人のような我々が赴いた多摩キャンパスは造成が終わったばかりで、植えられたばかりの樹々がまだ背が低く、この「荒れ地」にゼロから学校を作るのだ!という気概に燃えた私(たち)は武者震い。。

完成すれば「島」が3つはできるはずの職員室も、初年度は島はひとつだけでガラーンとした状態。5クラスの担任と学年づきの副担任、教務主任、教頭、校長の9名が学校のすべてです。学年会議がそく職員会議でもあるような環境で、それこそ制服のデザインから校則のひとつひとつまで自分たちで議論して決めてゆくのは、胸躍るような体験でした。

そんな我々が迎えたのが約200名の一期生たちです。体育館での入学式で壇上の我々が担任として紹介され、式が終わった時に自分の受け持つ1年5組の前に行き、そこから校舎まで誘導していった時の情景は、その時の心地よい緊張感とともに今でも思い出されます。

英語コースである5組を私は3年間担任しました。教科書や教材の選択から授業の組み立てからすべて自由にできる環境だったので、めちゃめちゃ「イキって」やりました。確か英語は週に13時間あった気がします。最初から最後までオールイングリッシュでやったのはもちろん、検定教科書は一度に2冊。一冊は当時もっとも斬新だった What's New?ともう一冊は当時も今も最も難解であろう Crown. それらを適当に食い散らかしてインプットの量を稼ぎました。さらには Reader's Choiceというアカデミックスキル養成のためのESL/EFL教科書を使用(当時のICUの1年生が使っていた、というのを後で知り、誇らしく思ったものでした)。1学期中間テストの範囲が100ページを超えた、というのをよく覚えています。

彼女らが高2だった1989年には、語学教育研究所の研究大会の公開授業をやる私に付き合ってくれました。CrownのWords and Silenceというレッスンをオールイングリッシュでやり、二時間目はオール生徒のスピーチ&即興ミニディベート。。。

そんな3年間に渡る私の問答無用英語漬け攻撃にも5組の彼女たちはよく応えて(耐えて?)くれ、1991年3月には立派にそれぞれの道に羽ばたいていきました。そして、あれからはや30年。。。。

先日、私が還暦を迎えたことを知った当時の5組の面々が寄せ書きを送ってきてくれました。


「誰かの妻、誰かの母、誰かの娘、誰かの◯◯、でない、自分だけのアイデンティティを確立せよ!」といった、当時の私のメッセージは彼女らの中に確かに残っていたらしく、今は国内および海外で、大学教員/研究者、日本語教師、ジャーナリスト、美容家、企業の海外担当、不動産のコンサル、歯科衛生士、カウンセラー、外資系勤務、英語講師、特別支援教師、そして何より Stay-at-home Momと、しっかりそれぞれの人生を歩んでいる様子が伝わって来ました。

当時16〜18歳だった彼女らも、そろそろアラフィフ。大妻多摩高校第一期生(英語コース)の誇りを胸に、これからも元気で活躍して欲しいと思っています。コロナ落ち着いたらクラス会やろう!





4/23/2020

ゼミはLINE自己紹介やっております。

ゼミメンバー21名のグループLINEは3月末には整えてあった。しかし実際にゼミが始まるのはGW開けになってしまった。

しかし「授業」が始まると言ってもどうせ遠隔でやるのでリアルな対面はない。であれば自己紹介もゼミの始りまで待っている意味はない、ということになり、LINEに一人ずつ自己紹介動画をアップすることにした。

4月4日に私の自己紹介を皮切りに、今日まで19人が自己紹介を終えている。1日につき一人ずつ、というペースが絶妙にちょうど良い感じである。一発芸としてモノマネを披露する者、ケンダマの世界一周を決める者、ダンスのビデオをアップする者など個性豊かな動画が毎日投稿され、それに対して様々な合いの手が入る。(ま、一番入れているのは私だが ...)。

バーチャルビデオ自己紹介は映像も残るし、なかなかイイ感じである。実際にはまだ会っていない3年生、4年生の間にもある程度のよいケミストリーが醸成されているきているような気がする。

ZOOM セミナーの前後は、学生同士の学びあいセッション

第3回のZOOM教職セミナーを行ったが、前回の反省を生かして、90分のセミナー前後のそれぞれ1時間、ミーティングを開催しておいて、ホストの私はビデオもマイクもオフにしておき、学生が勝手に集って自主的ピアスタディをするのに任せておいた。

こちらのPCの音量もオフにしたので話の中身は詳しくはわからないが、下級生が音読をするのを卒業して今春から教員になった上級生(とはもう言わないが)がフィードバックしたり、構文が読み取れないところを教え合ったりしていたようだ。終わった後はメンバーによっては1時間以上いろいろ話し込んでいたようである。

なかなか良い企画ではないだろうか。本来(従来)は出会うはずのない、昨年度の4年生と、今年度の3年生の交流が実現しているのは、遠隔授業であるからこそである。


4/22/2020

『日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの聞き方がいちばんよくわかるリスニングの教科書』校正進めております!

いまは初校を戻した段階で、再校および録音にむけて順調に作業を進めていただいております。リスニングの本質についての考察から始めながら、リンキングや音声変化のタイプ別にここまで徹底的にトレーニングできる本はいままでなかったのではないでしょうか。総仕上げに場面別の対話の聞き取りも豊富です。全部でたっぷり280ページ。以下、「はしがき」から抜粋:

リスニングと発音はコインの両面と言えます。既に刊行されている『日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの作り方がいちばんよくわかる発音の教科書』の内容を、リスニングの方向から眺めて構成しなおし、聞き取れるようになるための豊富なエクササイズをつけました。 
本書のエクササイズは大きく、(1)単語と単語のリンキングに慣れる、(2)文字と音声のイメージギャップに慣れる、(3)日本語にない音の区別に慣れる、(4)英語リズムを意識して概要とディテールを聞き取る、の4つに分かれます。とくにリンキングには力を入れ、あらゆるパターンに触れられるよう工夫してあります。




どうぞご期待ください!

4/20/2020

zoomでも同時双方向型授業は現実的でない

今日は自分がWiFi環境がイマイチのところからzoom会議に参加してみて、通信環境が悪いとzoom会議がどんなにしんどいかを痛感した。

相手の発言の音声が不定期にとぎれてしまい、3分の1は聞き取れない。フラストレーションがたまることこの上なし。

これが授業だったら学生は絶望的な気持ちになるだろう。

スマホしかない学生も多い。同時双方向型授業は理想だが、現実のインフラを考えると、あくまで補助的に使うのがよいようだ。

4/19/2020

LINEグルグルもいいかも。

メールグルグルでなく、LINEグループでのグルグルも可能です。もはやグルグルではないですが。

しばらく前からゼミのLINEグループに、対訳付き新聞記事を音読したものを配信しています。すこしでも自主学習の助けになれば、くらいのつもりです。

その私のモデル音読を聞いて、その一部でもいいからアップしてみよ、と誘ったところ、今日早速何人かアップしてきました。

でそれに対してフィードバックして、再提出を指示。

ということは、グルグルのように自分に対するフィードバックを自分だけが聞くのではなくて全員がシェアする、ということになります。

フィッシュボウルのような形ですね。

これもまた使えそうです。




4/16/2020

オンラインの教職セミナーも悪くないかも。。

本日、2回めの zoom教職セミナーを行った。以前も書いたが、英語長文の解説ビデオを予め配信してオンデマンドで視聴させておいたうえで、zoomで集まり、その長文を題材にして

(1)音読
(2)より口語的かつ平易な英語への言い換え

のトレーニングさせるのがメインの活動である。

思いがけず嬉しいことがあった。なんと4月から教師として巣立っていった学生が2名、参加してくれたのである。当たり前だが100キロ以上離れた他県に行ってしまった彼らが、母校でのリアル教職セミナーに参加することはありえない。

遠隔だからこそ実現したものである。リアル対面ができないなんて何と面倒で難儀なことか、というマイナスの方向ばかりで考えがちであるが、遠隔にも良い点はある、という当たり前のことに改めて気付かされた。

新3年生の新しいメンバーがほとんどで、しかもリアルでは互いに顔を合わせたことがない人も混じるまだ硬い雰囲気の集団の中に、突如舞い降りた超リラックスムードの卒業生たちが、軽口を交えながら私と気楽に話す様子は、新メンバーの心を多少なりともほぐしてくれたのではなかろうか。

ほとんどは、私が誰か1名を指名して、音読またはパラフレーズをさせ、それにフィードバックする、という形で進めたが、時に、上の卒業生のひとりと新3年生のひとりと指名し、卒業生が先生役になって3年生の音読を指導させる、というのもやってみた。

卒業生は新米教師であるので音読指導の練習になるし、3年生の練習にももちろんなる。もちろん新米教師の音読指導にも要改善点があるので、そういうときはすかさず私が割って入って助言もした。

きょうはうっかりセミナー終了と同時にzoomミーテイングも終了してしまったが、ホストの私がミーティング終了した瞬間に彼ら同士のオンラインでの場も終了するのでもったいないことに気づいた。来週からは、セミナーを終了してからしばらく30分くらいはミーティングを開催しておき、単に学生同士の情報交換や学びあいの場にするつもりである。

なんだか楽しくなってきた。


4/15/2020

オンラインの zoom ゼミ、やり方が概ね決まりました。

5月からの開始に備えていろいろ試行錯誤をしましたが、本日トライアルゼミを zoom で開催して、概ね行けそうな手応えを得ました。参加者は18名。

内容は、(1)TED をつかったプレゼン、(2)マーフィーの英文法の英語版 English Grammar in Use をつかったプレゼン、(3)歌のプレゼン、です。以下、詳細を記します。

(1)TED

教師がYouTubeを操作して、Transcript画面を利用して、音声を聞かせながら、10数カ所指定して、書き取りをさせる。一箇所につき4語程度。このとき画面共有をしていないので、教師はTranscript画面を利用してランダムアクセスでいろいろな箇所の音声を出せるが、その画面は学生には見えない。→ 学生はその書き取りはリアルに紙にメモしておき、zoom終了後 30分以内に、google formsで回答。

発表担当学生が予め提出してきた発表動画 (7分くらい)を教師が再生。ところどころ止めて、発音や英語表現上のフィードバックをする。この発表動画は学生は screencastで作成。当該のTED Talkの概要と心に残ったセリフをYouTubeを操作しながら3箇所紹介し、音読練習をさせる、様子を録画してある。

教師が、予め準備した、10数カ所の空所を設けたtranscriptを示し、空所を埋める語を書かせる。速読しないと間に合わないくらいのスピードでスクロールして提示するのがみそ。→学生は解答をリアルに紙にメモしておき、zoom終了後 30分以内に、google formsで提出。

ブレイクアウトルームにして、数分間、英語で話す練習をさせる。

注:
小テスト用紙の google formsは、汎用性があるようにすべて記述式にしておき、その日の解答提出を締め切ったら、CSVでダウンロードしてしまい、formの responseはすべて消去してしまう。これで毎週同じフォームで使える。

(2)グラマー

発表担当学生が予め提出してきた発表動画を教師が再生。ところどころ止めて、発音や英語表現上のフィードバックをする。

ブレイクアウトルームにして、グラマーの問題ページを使った、口頭のペアワークをさせる。一方が口頭で文法問題をだし、他方が教科書を見ずに答える、というもの。

(3)歌

発表担当学生が予め提出してきた発表動画を教師が再生。ところどころ止めて、発音や英語表現上のフィードバックをする。

きょうはたまたま発表担当学生の都合がわるく、リアルタイム参加はなかったが、5月から本格的に始まったならば、リアルタイム参加があるはずなので、リーダーとして全体にたいして歌唱指導をし、最後は全員で歌って終わる予定。

■3つの発表をなぜ、わざわざ予め動画を提出させるか。理論的にはリアルタイムでも可能だが、そうするとテキパキと私が止めてフィードバックが出来ない。zoomの特性で、一人が話している時に割り込んで話そうとすると、一瞬聞こえなくなったり、音声が途切れたりして実用に耐えない。その点、動画にしておけば、それを私が再生し、いつでも止めてすぐにフィードバックをすることができる。

■私としての難しさ/チャレンジは、画面共有をしてしまうと、ほとんどの学生の顔が見えなくなってしまい、ちゃんと音声が届いているのか、どういう様子なのかがまったくわからなくなってしまい、不安になりながらも、物理的距離の離れている学生たちを信じてPC画面に向かって話すのに慣れること、である。






4/12/2020

配信した動画を全員が必ず見るように仕向ける方法

オンデマンドで講義の動画を配信したとします。しかしそれだけでは、その動画を学生の全員が必ずきちんと見てくれるとは限りません。ではどうするか。

それを考えるもととして、リアル授業に関しての次のようは手法を出発点として考えてみました。中学・高校での授業を想定して書いていることに注意してください。

--------------- 以下、拙著『英語授業の大技・小技』(研究社)より引用 ---------------

5 秘技:発問すべてテスト法

授業における指名には問題点がある。

(1)答える人数の少なさ
 当然のことながら、ひとつの質問について同時に指名できるのは1名だけであり、他の全員はその時は答える機会がない。
(2)特定のものが答える
 指名せずとも皆が自発的に発言(解答)してくれれば一番自然でよいと思うのだが、指名しないとなると、どうしても答える者が偏ってしまう。
 
このような、特定の個人が答えることの限界を打破しようとして考えに考えて編み出した技が、秘技「発問すべてテスト法」である。
(1)授業開始時に小テスト用の紙を配る。

(2)「きょうの授業中にする質問はすべてテストだから、俺が質問したらすぐその答えを紙に書く。いいね〜!」(「え〜!?」)

(3)普通に授業を始める。授業を進めながら、何か質問したいことがあれば、クイズ番組風に突然「ここで問題です!」と宣言し、全体に向けて発問する。質問の種類は自分の授業スタイルと生徒の実状に即してなんでもよい。例としては:
  • 特定の単語の意味、反対語「はい!この単語の意味は!」
  • 単語の品詞「はい!このcashは名詞か動詞か?」
  • 特定の単語の発音・アクセント「はい!カタカナでいいから次の単語の発音を書く!」
  • 文アクセント「次の文で文脈からみて強く発音されるはずの単語はどれかな?さあ○をつけてみよう」
  • 文の構造「今読んだ文の、主部はどこまでかな?主部が終わるところにスラッシュをいれる!」
  • 文の構造「そうだね。ではその主部の中の、中心となる主語一語はどれかな?はい、まるで囲む!」
  • 照応関係「はい!このtheyは何を指しているでしょう?」
  • メイン・アイデア「はい、今のパラグラフで言いたいことを、日本語5文字で書く!」
などだが、生徒のレベルに応じて、発問を英語にすることもできる。

(4)答えあわせは1問ごとに行う。発問をして、生徒が必死に答えを書いている状況を見きわめながら、まあ平均して5秒くらい経過したら、「はい!」と時間切れを宣言し、答えを言う。

(5)正解が示されたら生徒は、鉛筆を赤ペンに持ち代えて、今自分の書いた答えが合っていれば○、間違っていたり書いていなければ×をつけ、また次の問題に備える。

(6)この形式を授業終了1分前まで続ける。

(7)終了1分前になったら「はい!じゃあ、そこまでだから、○の数を数えてその合計を名前の横に書く!」といい、最後に紙を回収しておわる。

 <発問すべてテスト法の良いところ>

(1)緊張感を持続できる
いつ何をきかれるか分からない、という緊張感で、昼休み直後の5時間目であろうが、居眠り者を出さない。

(2)柔軟性がある
ポイントは、授業中にする発問のすべてをそのまま小テストにしてしまう、という点にあり、その他は柔軟であり、教授法や生徒のレベルや使用言語(日本語による説明授業か、オールイングリッシュの授業か等)に縛られない。

(3)指名をする手間が省ける
私のように、(告白してしまうが)生徒の名前を覚えておくのが苦手な教師には大助かりである。

(4)生徒の理解状況がリアルタイムで把握できる
何人かの生徒の手元をのぞき込むだけで、生徒の理解度がチェックでき、その後の授業を小刻みに軌道修正できる。

------------------------ 引用終わり -----------------

 
これを動画配信に応用すると、「動画の中に発問を埋め込み、それに対する解答を提出させ、それを評価データのすべてにする」という手法に思い至ります。リアルの「発問即テスト法」と違うのは、リアル授業であれば発問して解答させたら即正解を言って採点させるのに対して、動画配信の場合は、動画のすべてを見終わってから解答を(google formsや manabaに)提出させる、という点のみです。

たとえば私の、とある講義授業では、

(1)教科教育法の教科書のあるセクションを読んで、それを要約する
(2)例文つきの単語集の、単語と例文の音声を聞き、かつその単語の英語定義を英英辞書で調べる
(3)英語発音についての教科書のあるセクションを読んで、その付属音声を聞いて発音練習する

ということをさせたいと思っています。そこで、(1)〜(3)をすべて講義動画にする(Camtasia 2019などを使用)のですが、その際、解答すべきことをすべて口頭で指示するのです。「口頭で」としたのは、指示をパワポの文字なので視覚提示してしまうと、学生が早送りしてその部分を見つけることが可能になり、動画をきちんと見ないことが考えられるからです。

90分の動画のどこかに10箇所とか20箇所とか問題指示を口頭で埋め込んでおけば、地道に90分視聴せざるを得ません。よくテレビやラジオの番組で、どこかで「合言葉」を言って、その合言葉を知っているひとだけ応募できる懸賞などがありますが、ああいうイメージです。

問題はあらゆるタイプのものが可能です。
A) 日本語で200文字程度の文章を書かせる。
B) 目標言語の単語(1語)を書かせる 
C) 目標言語の1文を書き取らせる。
D) 目標言語の指定した文(章)を音読させる。

A〜Bは google forms の小テストにすれば、とくに Bと C は自動採点が可能です。(manabaでも可能のようですが、私は使っていません)。 Dは manaba のレポートとして音声ファイルで提出させることが可能です。

そしてDの音声提出物にたいするフィードバックですが、それを次の授業の動画に組み込むのが一番簡単だと思います。リアル授業でも、何人かの提出物を取り上げて、あるいは全体に共通することがらについてコメントすることがあると思いますが、それとまったく同じことを、動画にすればよいわけです。

Dで提出された音声をPC上で再生し、それについてフィードバックしている様子、それ自体を録画してしまい、次回の授業用の動画の冒頭部分として配信する、ということです。

以上のように動画のなかに、動画を最初から最後まできちんと視聴しないと解答できない設問を組み込んでしまう、という手法をとれば、オンデマンド配信でも学生はきちんと学習してくれるのではないか、と期待しています。

4/10/2020

Wh-疑問文に関する論文が公刊されました。

Shizuka, T. (2020). Relative difficulties of L1-Japanese EFL learners face in formulating different types of wh-questions. Annual Review of English Language Education in Japan, 30, pp.65-80.

Abstract

Formulating questions is one crucial building block of communication. Regarding wh- questions, though, literature often reports that Japanese EFL learners tend to have greater difficulty correctly formulating subject questions than other types of questions. This study attempts to shed more light on this phenomenon. In Study 1, university students tried writing 50 wh-questions asking for certain pieces of information specified by underlines in source statements. The results led to a hypothesis that subject questions are a challenge only when the wh-word is immediately followed by a lexical verb but they are not particularly difficult when the wh-word is followed by a primary or model verb. Study 2 tested that hypothesis on two separate groups of university students. It also investigated the effect of explicit grammar teaching by conducting practice sessions with one group (experimental group) and not giving such sessions with the other (control group). The results confirmed that the difficulty of making subject questions is indeed moderated by the type of verb that follows the wh-word and indicated that explicit and focused practice of formal manipulation can help learners overcome the revealed weakness.

教科書を前提としない授業は教員をテストする

大学がロックダウンになると通常であれば大学内の書店で購入していた教科書が買えない。アマゾンなどで入手が可能な場合もあるが、すべての学生が教科書を購入できるとは思えない。

よって今年に関しては教科書がない学生でも参加できるというのを前提に授業を組み立てるのが無難だと思う。

この状況もまた、自分がひとりの教員として、教科書という「他力」に頼らずに、学生に何を与えることができるのか、を我々に問いかけてくる。

ある意味で、徒手空拳でなにができるのか、の勝負になってくるわけで、その教員ひとりひとりの力量の差が顕在化するだろう。

4/09/2020

オンライン授業を工夫するのは良いことだ

日本中の大学が現在、少なからぬ教員が経験したことのない非対面授業によって少なくとも前期のすべてを組み立てねばならないという状況に直面し、大混乱である。

こんな状況を望んだ者は誰もいないが、一教師としては、自分の授業スタイルの幅を一気に広げるまたとないチャンスだと捉えるのがよいと思う。まさにピンチはチャンスである。

対面ではあの手この手で学生を90分集中させられていても、それは純粋な内容だけではなく、学生との物理的な距離を変化させたり(例:教師が歩き回ったり、特定の学生に近づいたり)、学生を物理的に動かしたり(立たせたり、スキップさせたり)という、いわばプラスαの要素も使って成し遂げているわけである。

私のグルグルの威力?も、学生との物理的な距離をつめて間近で「圧」をかける、ということによる部分は無視できない。

それが90分のオンデマンド動画になると、そのプラスα要素の部分はゼロになるので、まったくの講義の内容だけでどこまで惹きつけられるのか、という勝負になる。しかも惹きつけられているのかいないのか、はもちろん知るすべがない。相手は見えないというかいないのである。

この状況はあらためて自分のストレートなトークが学生の教育に対してどこまで有効なのか、という問いを突きつけるものだ。いわば視聴者の直接見えないラジオ番組やテレビ番組を録音・録画するようなつもりになり、学生を想像しながら、こころを込めてビデオカメラに語りかけねばならない。

そしてそれはそれで楽しいものである。

リアル授業であれば自分が話している時に下を向いていたり、つまらなそうな顔をしていたりする学生が一人でもいると気になってしかたないが、そういう心配もない。

発音練習や音読練習のためのポーズを設けながらカメラに向かって一人で話すのは、あるいみで授業の一番大切な部分だけを抽出してプレゼンするような体験であり、改めて自分が学生に何がしてやれるかを突き詰めて考えてみる、よい機会となっている。


昔、高校教員だったとき、よく風邪を引いて声がほとんどでなくなったことがあった。そいう状況の時は、まったく声を出さずに授業するテクニックを工夫したものであった。声に頼らずに学生の音読に身振り手振りでフィードバックするのは、やってみるとそれなりにできるものである。そういう極端な体験は、声が戻ってからももちろん役に立つ。

今回のこの強制遠隔授業クライシスを乗り切った暁には、授業方法のレパートリーが以前とは比べ物にならないくらい豊かになっている気がする。

4/08/2020

zoom で教職セミナー始めました。

さきほど第1回の教職セミナーを遠隔でやってみました。まずまず手応えをつかんだので備忘を兼ねて書いておきます。

教材:教員採用試験に出題された言語習得・英語教育などをテーマにする長文

(1)オンデマンド:事前に私が CamtasiaでPC画面に写った題材を解説している60〜70分の動画を作成し、共有URLを配信して視聴させておく。


(2)すでに解説ビデオを視聴したことを前提に、Zoomミーティングを開く。きょうの参加者は私を除いて17名。やった活動は以下のものです:

- ひとりを指名して指定した1〜2文を音読させ、指導する。(他の全員は mute)

- ひとりを指名して指定した1〜2文を 平たいEnglishに変えさせる。(他の全員はmute)

- ひとりを指名して、チャンクに切りながら、私のあとについて音読させる。(他の全員はmute)

- 私がチャンクに区切ってポーズをおいて音読し、全員にリピートさせる。(全員をmute)

<感想>

一方通行で知識を与えるのは動画でオンデマンドで視聴させ、Zoomでは双方向のみのスキルトレーニングをする、というバランスが良いように思いました。60分程度で終える予定が、結局90分かけてしまいました。

指名した学生のマイクのミュートを解除するのに、一呼吸かかるのでリアル対面と同じ程度のテキパキ感は出せませんが、発音指導も十分に可能だということが確認できました。

画面共有してその画面にイントネーションコンターなどを描きながらプロソディ指導もできます。

一斉リピートも全員ミュートしているので、学生の口パクしか見えませんが、それはそれで本人たちはリアル教室と違って他の人に気兼ねせず、個人練習ができているのではないかな、と感じました。

これから7月までこれでやる予定ですが、これはこれでアリかな、と思えます。

4/01/2020

シンプルな遠隔授業である「メール・グルグル」のレポートをアップしました。

今年はどうやら遠隔授業がキーになりそうです。しばらく前の実践ですが、シンプルにメールだけを使った立派な遠隔授業である「メールグルグル」の論文を Academia Eduにアップロードしたのでよろしければ御覧ください↓

Guru-Guru” One-on-One Pronunciation Training via E-mail:
Strengths and Weaknesses Relative to its Standard Face-to-Face Counterpart

靜 哲人(SHIZUKA Tetsuhito

Abstract
The guru-guru method refers to a technique of one-on-one pronunciation practice/evaluation intended for a class of 10 to 30 students. The students stand forming a circle and the instructor walks around (hence its name, which means “round and round”), checking and correcting their pronunciation. The students try saying one of the designated sentences or items when the teacher comes around. When a student gets one item correct, she can proceed to the next one in her next turn; when she gets a fail, she has to keep attempting the same item in her subsequent turns. This activity ends when the time limit (typically 20-30 minutes) expires or at least one student passes the last item. This arrangement necessitates one guru-guru session’s ending without most of the students reaching the last item. To compensate for this limitation, an e-mail-mediated version of guru-guru, in which audio-recordings are evaluated outside of class, was attempted. Forty English-major undergraduate students were instructed to record their reading of a 42-word sentence and e-mail the audio file as an attachment to the instructor, who would immediately text back his feedback. The students were instructed to keep submitting new recordings until they got a pass mark. During a six-day period, the 40 students submitted a total of 321 files. Within the deadline, 29 students (72.5%) received a pass mark. The post-assignment survey revealed both strengths and weaknesses of this e-mail-mediated guru-guru activity relative to its standard in-class counterpart.


5 考察とまとめ

 質問紙に対する回答から、対面グルグルと比べた場合のMGの強みと弱点が明らかになった。文字ベースの返信という限界はあるものの、普段は授業中に対面でグルグルしている教師/学生の間であるならば、音声もフィードバックも後に残ることの利点は大きい。「フィードバックの意味がわかりづらい」という声も多いが、たとえば「R」とだけ書いてどの単語のRが問題なのかを書かなかったのは、教育的な意図に基づいていたこともある。また本論文では実証データを示す紙幅がないが、肝心の音声の質も確かに向上したことは指摘しておきたい。教室での指導と相補的に用いられるMGは、学生の発音スキル改善に大きな効果が期待できることが今回の調査でも明らかになった。「文字だけのダメ出しが心に刺さりすぎることがある」という声があったことに留意しながら、今後も指導の中でMGを適切に活用してゆくつもりである。