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12/28/2010

リズム音読、高校生に大好評

https://sites.google.com/site/zukeshomepage/publications/invited-talks/271-kanso2

に、山形県長井高校に出前授業(マライア・キャリーのhero を読解教材として扱い、リズム音読とパラフレーズを中心にした2年生対象の65分授業)を受けた生徒の感想をアップした。

手を叩いたり足踏みをしたりして英語を読む体験は非常に新鮮であったようだ。

まず教師の英語をまともに

3時間かけて「教科書の普通の本文からリズムをいかに取り出すか」の演習をしたあとで出た質問が、

「こういうリズム音読を普通の音読に生かすにはどうしたらいいですか?」

「こういうリズム音読と普通の音読はどちらを先にやったほうがいいですか?」

(それをいままで3時間かけてやってきたんですが、まことにものを伝えるのは難しい...)

「ふつうの音読」と「リズム音読」には、本質的な差はない。手や足でリズムをとっているかいないかの違いで、リズムはそのままである。つまり


リズム音読 = 普通の音読 + 手足の動き

であり、

普通の音読 = リズム音読 - 手足の動き 

であるべきなのである。

思ったことは、普通の先生の「普通の音読」は、あまり英語らしくない。英語のリズムがなく、強く、高く、長くあるべき強音節に、十分な焦点が当たっていない。だから、「リズム音読」が「普通でない音読」のように思えるらしい。

リズム音読を使って生徒に英語のリズムを教えるやり方を教師に教える前に、リズム音読を使って、英語教師に英語のリズムを教えるほうが先決のようだ。

The average Japanese EFL teacher's English does not sound very like English because it lacks the stress-timed rhythm which characterizes the languages when contrasted with a mora-timed language like Japanese.  I should think about teaching THEM how to read English more like English before teaching them how to teach their STUDENTS how to read English more like English.

12/15/2010

いまどきの音声合成ソフトはすごい!

http://voicetext.jp/blog/149.html

に、利用しているTTSソフト(GlobalVoiceEnglish)の感想記事を書いた。

12/11/2010

最初に日本語を書いてから英訳する生徒

自分の意見を100語程度で書くというタスクに対して、いつもいつも、どうにも意味がとれない、だらだらした英語もどきを書いてくる学生がいた。

たとえば、

Because the road is asked, it is not felt that it is quite scary only it is to show the road when thinking that it is relations only at that time though it speaks.

というような文を書いてくる。 ちなみに、この英文の心は、

I sometimes speak to strangers when they ask me for directions, but since I have to talk to strangers only at such times, I don’t fear strangers.

というような意味。

一生懸命課題に取り組む、まじめな学生なのだが、これはなんなんだろう、といぶかっていたが、ある日、その原因がわかった。

彼女は、まず日本語で完全原稿を作成してからそれを「翻訳」していたのである。

ネイティブスピーカーである我々が書いた達意の(=だらだらと長く、日本語特有の表現も多い)日本文を前にそれを文単位で「翻訳」しようとすると非常にやりにくいのは、我々のレベルであってもよく体験することである。

日本語をまず書くのはやめなさい。それをやっているからまともな英文がかけないんだよ。とアドバイスしたのは言うまでもない。日本語で「文」を書きつけてしまわず、いいたい「ことがら」を思い浮かべながら、それを知っている英語をつかって「表現しよう」としなさい、と言ったのだ。

はたして、翌週から彼女の英語は劇的に、わかりやすくなった。

There was a hard-working student who always produced almost incomprehensible essays.  The root cause turned out to be the fact that she always first put down what she wanted to say in Japanese and then tried translating it into English.  No wonder the product was always really really bad.  I advised her that she stop writing first in Japanese but rather that she should use English from the start.  Actually, that change of strategy did work, and her composition became drastically much much easier to understand.

12/06/2010

音読力検定始めます!

「英語教師としてモデルリーディングをする力」の絶対評価を始める。

学部1年生から大学院生、現職教員までを共通の尺度に乗せる。

Category Labels は...

3級    Very Poor    30点
2級    Poor       40点
1級    Unsatisfactory 50点
初段   Okay       60点
二段   Good      70点
三段    Very good   80点
四段   Excellent    90点
五段   Mastery    100点

I am developing the Oral Reading Proficiency Scale (ORPS) for Japanese teachers of English in order to locate every prospective and current English teacher I meet on one and the same dimension of the single most crucial skill as an EFL teacher.

12/05/2010

習熟度別の成績にも応用できる

前回のポストでは、

「共通テストによる平均点を維持しながら、別の独自データを加味することで個人個人の点数を上下動させる」

方法を紹介したが、これはそのまま、

「習熟度別クラスの相対的位置を維持しながら、クラス内では独自データで成績をつける」

ことにも応用できる。

つまり、名称はともかく、上級、中級、下級クラスがあったとする。

それぞれのクラス内で独自に点数をつければよい、つまり、上級クラス内での85点と下級クラス内での85点は意味が違ってもいい、という状況であれば、以下の話は読まなくてよい。

そうでなくて、以下は、上級クラス内での65点と下級クラス内での65点は比較可能な同じ意味であったほうが望ましい、という状況を前提にしている。

上級、中級、下級と分けたからには、その分けるときに使った共通データがあるはずである。それによってクラス平均を出しておく。

上級 80.3
中級  65.2
下級 50.8

あとは前回のポストと同じ要領で、この平均を維持しながら、それぞれのクラス内で行う授業に対応した成績データを利用して、成績をつければよい。授業に応じた試験内容によるが、学年を通じて共通の尺度上にある成績をつけることが可能である。

誤解がないように言っておくと、下級クラスのなかでものすごく頑張っている生徒の成績が、中級クラスの下位者よりも上になる(=そのようにする)ことはもちろん可能である。

このクラス間の平均点の関係はずっと固定でなく、学期に一回とか、年に2回とか、再び共通テストを実施して、アップデートすればよい。またその結果に基づいて、レベル間でメンバーの入れ替えを行うのが可能ならばすればよい。


It is possible to evaluate students in different classes at different levels using different materials such that (A) the grades given to all the students are on one and the same scale and, therefore, comparable across classes, but at the same time (B) those given to the students in a given class reflect the class-specific content and data not shared with the other classes, if you do the following.

(1) Compute the class means based on some data obtained from some tests administered across classes.

(2) The mean of your class should be anchored at that value.  Let your class mean be Mn1.
   Find the maximum score in your class.  Let it be Mx1.

(3) Add up all the class-specific scores you want the grades to reflect.  Let the mean of those scores be Mn2.  Let the maximum of those scores be Mx2

(4) Using EXCEL, find a and b that satisfy:

Mn2 = a*Mn1 + b   AND  Mx2 = a*Mx1 + b

This is easy as pie if you use "=SLOPE()" for a and "=INTERCEPT()" for b.

12/04/2010

評価における同僚問題を解決する方法

他のクラスと不公平にならず、自分独自の評価を成績に反映させる方法

靜 哲人 2010/12/04

問題の所在

多くの学校で、成績は学年共通の定期テストの素点によるという縛りがある。このため、自分の授業の平常点や音読テストなどの自分の独自の視点による実技点を成績に反映させたいと思ってもできない、というジレンマを抱えている教師は多い。そこで、「成績は定期テストの素点による」と「自分独自のデータを反映させる」という二律背反を解決する方法を紹介する。

概要

1 学年で決まっている定期テストの素点により、クラス平均を出す。たとえば、

A組 73.2
B  68.1
C  66.3
D  70.6
E  71.9

となったとする。このうち、E組をあなたが担当しているとする。E組のクラス平均は71.9点なので、E組の成績の平均は71.9点である。

ここからがポイントである。他のクラスの先生は、あなたがE組にどういう方法で成績をつけようと、本当のところ、定期テストで決定された相対的なクラス関係が変わらない限り、文句はないはずである。つまり、あなたがE組に対して平均が71.9である成績をつけている限りは、その中身に多少平常点を加味しようがすまいが、基本的には自分には関わらないので、文句はないはずである。

(それも許されない、となると話は終わるが、交渉してみればそれなら構わないというケースは少なくないと思われる。)

以下は、それは交渉によって了解をとりつける、という前提で論を進める。であれば、つぎに担当のE組のクラスの生徒に対して、「自分は授業の内容を反映して平常点など独自のデータを加味した成績をつける」と宣言し、説明のうえ納得させる。

結局どういうことかと言うと、

(1)  クラスの平均点は学年共通の定期テストの点数をそのまま維持して評価がつく。
(2)  クラス内の個人個人の点数は、定期テストに加えて授業内容を反映したデータによって評価が変わる。

というふたつの条件を満たすように評価する、ということである。すると言い方を変えると、クラスの平均点は定期テストのみでつけた場合と変わらないが、クラス内の順位は独自の視点によって変動する、ということである。

方法

具体的にやり方をしめす。次のようなデータがあるとする。定期テストの平均は71.9。このほかにあなたは小テスト10回および音読テスト3回それぞれの合計点を使って成績をつけたいと思っている。

定期テストだけでつけると明石家さんまがクラストップだが、音読テストなどもふくめてみると黒木メイサがトップである。なんとか授業中に頑張っている黒木メイサによい評価をつけたいのだ。





単純に、定期テスト+小テスト+音読テスト を出すと、クラス平均が178.8になってしまうので、このままで成績をつけることはできない。要はこれを「圧縮」して、平均71.9に変換してやればよいのである。

(1)ケース1

最も単純な方法は、全員の点数に等しく、

71.9/178.8 = 0.4021

をかけることである。実際にやってみると




となり、小数点以下を四捨五入すると、


 となる。黒木メイサが97点でトップとなり、明石家さんまは69点に抑えられた。

(2)ケース2

この成績に満足ならそれでよいが、場合によっては最高点が高すぎる(100点をオーバーすることも理論的にはある)とか、最低点が低すぎる(教育的な理由から、最低点は一定の点に押さえておきたい、など)などと感じられる場合がある。そこで、こんどは、

A 平均点は 71.9 であり、
最高点は、90点である

という条件を満たすような変換をしてみる。(平均点と最高点と最低点のすべてを満たすことはできないのはわかるね?)

こんどは、

x 178.8(クラスの平均点) なら、y が 71.9 になり、
x 242 (黒木メイサの点数)なら、y 90 になるような、

y = ax + b

と の値を発見すればよいのである。

こういう変換を一次変換と言い、a を 「傾き」、b を「切片」という。英語ではそれぞれ、

slope  と  intercept

と言う。なぜこんな用語を出したかと言うと、エクセルで必要になるからだ。次のように入力する。






178.8 と 242 が x の値(もとの値)であり、 71.9 と 90 がyの値(変換後の値)である。まず、slopeを求めるには、



傾きを求めたいセルに =SLOPE( 

と打つと、既知のyは何かと聞いてくるから 71.990を選択して、





カンマを打つと、こんどは、既知のxは何かと聞いてくるから、178.824.2を選択してやり、




enterキーを打つと、





傾き、つまりaの値が求まった。約 0.286 である。次に、同様に切片を求める。

切片を求めたいセルに、=INTERCEPT( 
と入力すると、既知のy、既知の xを聞いてくるので、順番に指定してやる。



enterで決定すると、切片つまりbの値が求まる。




結局、a = 0.286  b = 20.69 である。つまり求める一次変換の式は、

y = 0.286 x + 20.69

である。この式を全員の点数に適用すれば、平均が71.9 で、最高が90 になる。実際にやってみよう。







確かに黒木メイサの得点は90 点になった。平均も71.9であることは確認すればわかる。

以上は、平均点と最高点を指定して y = ax + b を求めたが、同じ要領で、平均点と最低点を指定して、そのような条件を満たす y = ax + b を求めることもできる。また、今回の「平均を固定しておく」という趣旨とはずれるが、最高点と最低点を指定してそれを満たすようなy = ax + b を求めることもできる。
 たとえば、なるべくクラスの中でばらつきを出したい(悪い者は悪い点に、良い者は良い点に)とか、逆に、差をぎゅっと圧縮したい(良い者と悪い者の差を、全員に公平になるようにしながら縮めたい)とかの場合である。

ケース3 最高点と最低点を指定する

最高の黒木メイサを99点、最低のビートたけしを10点にすることとしよう。今度は、平均点ではなく、最高と最低を使うので、それぞれ =MAX(    =MIN(    を使って(使わずに目で見て最高と最低を探し、手で入力してもいいが)を入力し、それぞれのよこに、変換後の最高点99、変換後の最低点 10 を打っておく。





先ほどと同じように、変換前のx 242 144  変換後のyが9910 なので、SLOPE と INTERCEPT を求める。




求まった。この y = 0.908 x + (-120.78) を全員に適用すると、




たしかに、99点から10点までにばらついた。
 しかしよく考えてみると、9910はやっぱり良くないな、と思ったとする。9060にしておこう、とあなたは思い直した。その場合は、変換後の最高点と最低点として入力しておいた 9910を、それぞれ、9060 に打ち直すだけで、すべてのセルの再計算を自動でしてくれる。




このように微調整しながら、自分の教師としての感覚に最もあう数値を採用すればいいのである。

なお、最高点、最低点、平均点の3つを指定しておいて、同じような 
= SLOPE(     =INTERCPET (    を求めるとどうなるかというと、指定した3つの値をおよそ満たすような y = ax + b  の a b を教えてくれる。

以上の方法を用いて、是非、自分の視点を反映させながら、他クラスとの不公平感が生じないような妥当性のある評価をしてもらいたい。

以上