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1/29/2019

「あなたがやりたかったのは L と R の区別ですか?」という指導教員、恥を知るべし。

成績をつける季節である。

教育実習に関しては基本的に実習先の先生がしてくださった評価をもとに、大学側の担当者が最終的な評価をつけることになる。最終評価を決める際は、実習生が実習期間中に書いた実習日誌を点検する。日誌には実習生の記述に対して指導教員の先生がコメントを下さっている。

私たちが指導して送り出す教育実習生なので、当然のことながら、かなり 発音指導-conscious な実習生が多い。それは私たちとしては望ましいことである、というよりもそうでなければならないことなのだが、実習先の指導教員はそう考えないことも多い。

うちの実習生が生徒の発音をなんとか改善しようと試みた授業に対して、「あなたが今日の授業でやりたかったポイントはL/Rの区別ですか?」といったコメントを書いてくる指導教員がいる。このコメントのニュアンスは、「もっと大事なことがあったのではないですか?」ということだ。

こういうコメントを見ると、「困ったものだ」と私は思うのだ。実習生がL/Rの区別の指導に注力した(せざるを得なかった)ということは、つまり当該生徒がその区別ができていなかったからである。それはすなわち、教育実習のある6月まで授業を担当していた指導教員がその区別を指導できていなかった(しなかった)ということだ。

流音が一つしかない日本語を母語とする日本語ネイティブが、流音が2つある英語を学習する際に、2つの流音の区別を習得するのは、最重要事項のひとつである。LとRの区別ができない状態で英語の音読をさせることは大きな罪である、と私は考えている。

つまり英語の学習を開始したその日から、あるいは最も初期から、LとRの区別は意識し、早い段階から発音仕分けられるようにならねばならない。

それを6月まで放置するという職務怠慢の罪を犯しながら、実習生がきてLとRの区別を指導したところ、それをディスる、とはどういうことか?

恥を知るべし。





1/28/2019

学生のコメントで嬉しかったもの

非常勤先の学生たちからもらった授業感想から、私が嬉しかったものをいくつかまとめておきます。学年は3年および4年。授業内容は実践的な音声学・発音学で、パフォーマンス3分の2、講義3分の1です。なお、感想の文言は直接引用ではなく、すべて趣旨を変えないパラフレーズです。

  • 今まで受けてきたなかでトップ3にはいる役に立つ授業だった。
  • 講義を取る前は「歌を歌うんだ、楽しそう!」くらいに思っていたが、始まってみるとそこには厳しい世界が待っていた(笑)。グルグルで先生が目の前に来ると緊張して発音どころではなくなった。先生の顔写真を撮らせてもらって、家でそれを見ながら発音の練習をすると少しは慣れた。
  • ネイティブスピーカーは、日本人の英語はこんなものかとあきらめていて直してくれないが、先生は日本語ネイティブの視点から注意すべきところを教えてくださり、かつ毎回しっかり間違いを指摘してくださって嬉しかった。
  • 他の授業では「今は英語は国際語で発音は二の次でよい」と言われ続けてきたが、先生の授業をうけて考えが変わった。
  • 最近は「アクティブ・ラーニング」流行りだが、グループで話し合いをさせるだけの授業には疑問を持っていた。この授業ではグループワークやペアワークは多くなかったが、グルグルのおかげて常に能動的に授業に取り組めた。
  • リスニングスキルが上達した。洋画も字幕ほとんで見ないでも聞こえるようになり、発音をクリアにするとスピーキングだけでなくリスニングにも効果があると実感した。
  • 以前は発音より中身が大事だと思っていたが、発音次第で中身も伝わらなくなってしまうと学んだ。
  • 「靜流英語授業道」は、生徒が今楽しいかだけではなく、長い目でみて生徒のためになるか、という視点に立っていると思う。
  • この授業を受ける前はほとんど発音に興味がなかったが、いまではいつもYouTubeで発音の動画を観るくらい興味が湧いた。





1/21/2019

エンドレス、とは言っても終わりがないわけではないようだ。。

大学のそばで見てしまった社名。


検索してみるとレンタルマットとかレンタルモップの会社とのこと。HPには企業理念は書いてあっても社名の由来は見つからなかった。

どうしてもこういうのは引っかかってしまう。「社名はエンドレスにしよう。(響きがいいから?意味が好きだから?) でもLをRに変えておこう。どっちでもエンドレスだから。Rにすれば普通と違ってオリジナルっぽいし。。」といった発想なのだろうか、と推測するしかない。

日本の英語教育のベースレベルの象徴だ。我々の責任だ。


3月3日 語学教育研究所でワークショップやります!

とくに(実は密かに)発音に自信がないが、それではマズイと思っている(良心的な)先生方、お運びください。

お申込みはこちら → http://www.irlt.or.jp/modules/survey/event.php?eid=110


ア・ラ・カルト講座11「発音指導の心技体」

日時:3月3日(日)13:00〜16:00(12:30より受付開始)

講師:靜 哲人(大東文化大学)

効果的に発音指導を行うためには、World Englishes の時代においてなぜ発音が重要なのかについての確信[心]、 授業中に他にスキルと絡めて指導する技術[技]、そしてそれを支える自らの発音力[体]が不可欠です。文節要素を支配するとも言われるプロソディも含めて発音指導の心技体を実習します。 実習には一部、靜哲人(2019)『発音の教科書--日本語ネイティブが苦手な英語の音とリズムの作り方がいちばんよくわかる』を用いますので、可能ならばご持参ください。当日、会場でも購入いただけます。

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というのが語研に出したアナウンスですが、「可能ならば」なんて言わず、ど〜ぞご持参くださいませ!!


アマゾンの英語発音部門 ベストセラー1位快走中!

1/19/2019

50語ライティングにもとづくプレゼンテーション授業の試み

(はじめての形式(というかサイクル)で授業を行ってみたので、備忘のためにも書いておきます)

教科書: 靜哲人 Write your ideas in 50 words (50語フリップライティング)松柏社

教科書の内容と構成:

  • 15のテーマで構成。
  • Expressions you can use 使える表現を5つ程度提示。
  • Other People's Ideasとしてそれぞれ5つの50語パラグラフが提示されている。
  • 音声は意味の区切りごとに英語のみ、英語と日本語、日本語のみ、などが収録されている。
  • つぎに、My own ideaとして自分の作品を書くスペースが設けられている。
  • Things you might want to write aboutとして、My own ideaに使えそうな表現やテーマのヒントを提示している。
対象クラス:1年生 (TOIEC 400-500程度)

授業の手順・サイクル

ある Unit(Unit Nとする)をメインとする授業では、学生は準備として:
(1) Unit N の Other people's ideasを予習してくる。具体的には、チャンクごとになっている音声を聞いて、そのチャンクごとにスラッシュを入れながら、本文を手書きで写す。
(2)Unit N の My own idea (自分の作文)を授業前日までに作成する。そのドラフトを授業の前日の22:00までにメールで提出する。
(3)Unit N-1 の My own ideaは1週間前に提出して添削済みのバージョンが返却されているので、それを暗記してくる。
(4)Unit N-2の全員の My own idea(s) が、1週間前の授業後に配信されているので、その中からひとつ(ひとり)を選び、それを三人称に変えた形で暗記してくる。

教師の側から見ると、Unit Nの授業の前夜までに、Unit N の My own ideaが提出されてくるので、メールがくるたびに添削して返信する。My own ideaは50語が目安なので、だいたい30秒程度で添削できるため、それほど負担はない。ちなみにクラスサイズは15名程度。Unit Nの授業が終わったら直ちに、その日に口頭発表のあった Unit N-1の My Own Idea(s)の完成版の全員分をひとつのファイルとして配信する。

そして Unit Nをメインとする授業で起こることは、
(1)すでに約1週間前に添削されて返却されてきている自分の Unit N-1のMy Own Ideaを暗写し、かつ約1週間前に配信された誰か他の1名の Unit N-2の My Own Idea を三人称に変換したものを暗写し、ただちに自己採点する。
(2)たった今暗写して確認した自分の Unit N-1の My Own Ideaを口頭で発表する。発表のあとは2名が質問し、答える。
(3)Unit Nの Other People's Ideasを用いて、一斉音読練習や各種ペアワークをする。
(4)(3)の題材からピックアップしてグルグルをする。




1/11/2019

『発音の教科書』実物来ました!

明けましておめでとうございます。

暮にご紹介した拙著『発音の教科書』ですが、幸い多くの方に予約していただいたようで、刊行前にも関わらず瞬間風速的にアマゾンの英語発音部門でのベストセラーにさせていただきました! 誠にありがとうございます!



そしてその実物を本日、著者としてついに先行入手しました。おお!ついに来た〜!


まさに手前どもの味噌でございますが、いい感じに仕上がっています。中学生くらいからビジネスマンやもちろん英語の先生まで、幅広い方に使っていただいてお役にたつような、くだけすぎず、硬過ぎず、という絶妙なテイストではないでしょうか。一般英語ユーザーが英語発音に関して必要とすることがらはすべて網羅している、と考えています。

アマゾンに予約注文してくださった方、今しばらくお待ち下さい。また書店には来週末には並ぶ見通し、とのことです。

よろしくお願いします!