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10/11/2017

スピーチコンテストを審査して 2017

今年も中学生のスピーチコンテストの県大会の審査をさせていただいた。

会場の開場前に外で、それぞれの出場生徒を囲んで指導の先生とALTが最後のアドバイスをしながら最後の練習に余念がない様子を横目で見ながら、「しっかりとジャッジしなければ . . .」という責任を痛感しながら会場入り。

どの生徒も(指導の先生も)、構想からドラフト執筆、添削、改訂、練習、フィードバックという気の遠くなるような時間と努力を経て、この県大会に至っている。そういう努力の集大成を見せていただくというdutyを毎年頂いているのは本当にありがたく、しあわせなことである。

スピーチコンテストの審査で、最後は内容の(トピックの選択、その論理的な展開、論の深め方、聴衆に対するrelevanceなど)勝負になるのは当然である。その段階では英語的には甲乙つけがたいからそうならざるを得ない。しかしそこにいたるスクリーニングの段階では、「英語」スピーチコンテストである以上、英語の勝負になるのもまた当然といえる。

そして即興でないpreparedスピーチの宿命で、そのスクリプトには生徒本人の力を超えて、すでに指導者の力も200%加えられており、英文の誤りや不適切さは皆無と考えて良い。そこに残るのは音声の質のバラつきである。

スピーチコンテストの県大会のレベルであるので、/ r / や THができないケースは、私個人は pronunciation に関しては最低点をつける。つぎは / l / ができないケースである。真剣にスピーチを聞いているものにとって、flight が fright になったり、free が flea になったり English が Engrish になったりすると本当に「ズッコケル」のである。せっかくの内容に集中できなくなってしまうのだ。

L/Rの使い分けは、指導の先生にはなんとしても「命をかけて」指導していただきたい部分である。とくにそのスピーチのキーワードにL/Rが含まれていて、その誤りを連呼するようでは致命傷だ。

午後の決勝に進む生徒の中にはそのレベルの発音ミスはなくなる。しかし決勝レベルになってもまだまだあるのが、(語頭、語中、語末の)破擦音の問題だ。今回たまたま、かなりの人数の出場者が、 Imagine. という命令文をつかっていたが、gが破擦音として言えていた生徒はひとりもいない。Japanese の Jも、摩擦音で発音している場合がほとんどだ。large や huge や page などの語末環境でも放っておくと生徒は破擦音でなく摩擦音を使う。ネイティブであるALTは違和感を感じているはずなので、そこまでは無理だろうと最初からあきらめずに指導していただきたい。指導すれば必ずできるようになる。

音声面の評価は、まずまず一次元的にできるので比較的 straightforward だが、内容つまりcontent の比較は本当に難しい。グローバルイッシューが、ご近所イッシューよりも評価が高いとは限らないし、また低いとは限らない。emotionalにならざるをえないトピックの選択も、rational  にならざるを得ないトピックの選択も、どちらも by and of itself としては一概にはプラスであるともマイナスであるとも言えないだろう。

しかし、結果としての評価と連動したともしなかったとも言えないが、審査しながらもおもわず私個人が emotional にならざるを得なかったスピーチが確かに存在した。また審査を離れて、純粋に聞くのを楽しめた、これを聞く機会があってよかった、と思わせてくれるスピーチも確かに存在した。

いずれにせよ、今回は例年にも増して、聞いていて楽しくなるスピーチが多かった。一部の生徒の声色の使い分けや表情の豊かさに、純粋に魅了された。

入賞し、全国大会に進む皆さんには、ぜひ上にあげた破擦音までマスターし、母音弱化をマスターし、プロソディに磨きをかけ、さらに英語らしい英語で、聴衆を魅了されることを望みます。頑張ってください。