学生との間合いをつめるグルグル
ようやく昨日で、すべての授業の第1回が終わり、一巡しました。今年は勤務先の変更に伴って変則的で、非常勤も併せて4つの大学で合計週に11コマを担当することになり(50分授業に換算して22時間!)、11の異なるクラス集団とのめまぐるしい初対面が終わりました。で、一人のクラスを除いて、すべての最初の授業でグルグル(あるいはその変種)をやったのですが、結果感じたのは、やっぱりグルグルは頼れるな、ということです。初対面にも拘わらず、学生ひとりひとりと50センチの間で対峙することによって、いわば、ぐっと「間合いをつめる」ことができ、一斉授業で話している時には起こり得ないことが起こります。無表情に講義を受けているのとはまったく違い、すぐに彼らの本当の喜怒哀楽が出現するのでこちらとしては、名前は知らなくとも、かなりの数の学生の顔はすでに覚えてしまいましたし、学生の側にもすでに1回目から「マルをいただけたときは本当にうれしく、是非この先生のもとで学んでみたい、と思いました」という感想をもってくれた人もいます。とくに初対面のクラスでは、相手のレベルを見分けて、そのレベルプラス1程度にタスクを設定することが大事ですね。その調整は主としてグルグルに使用する英文題材の表現や、1チャンクの長さ、あるいは話さねばならないスピードを変えることによって行うもので、個々の発音の基準は極端には変えません。変えると言えば変えますが、発音の要求レベルも相手のレベルプラス1に設定するということです。例えば、/r/もできない子ならそれを最優先にしますし、/r/は問題なければ/l/の基準を厳しくしますし、それも問題なければ/z/ と /dz/ の違いや、語中や語末の /n/ なども要求します。要は、目の前の相手を、1ランクアップさせてあげるにはどうするかを考えます。視力検査のように、このあたりは見えるかな? ここならどうかな?と相手の表情や反応を見ながら英語を話すスピードや、日本語との使用の割合や、使う表現のレベルを調整しながら、相手にとってちょうどいいレベル(=彼らが、「頑張れば対応できそうだけど、すこし焦燥感も感じる」というレベル)を見つけ出す、という作業は、考えてみればテスティングで言う、adaptive test の原理と同じなのですが、本当に重要だな、と思います。そのためには、いまさらですが、自由自在に英語のレベルを変えて話すことのできる教師英語力、文法用語などはつかわず文法事項を簡潔に理解させる説明力、がキーとなると思います(学生がなにかを知らないことが判明したら、簡潔にその場で教えればよいわけですから)。幸い、11クラスのすべてがやる気のある学生に満ちていて、今年も楽しい一年になりそうです。そう感じられたのはグルグルをやったからだと思います。やる気、は引き出すものです。Motivation in students is not something already there waiting for you; it's something YOU create in them.みなさんも是非。