きのうゼミの学生に高校での音読の時間配分について質問されたのですが、それに関連して特に高校での音読指導について彼らに言おうと思うことを書いたので、ここにもポストしておきます。
reactive より proactive
生徒の発音を聞いて、それに基づいてフィードバックする(reactive)は大切だが、日本人がどこでどいう間違いをするかはほぼ100%予測がつくのだから、読ませる前に前もってそれを指摘して(proactive)から読ませるほうが、意識が高まっていいし、一度分、無駄がない。また慣れてきたら、注意すべき点を生徒に予め言わせてみるのもよい。これから読む部分に含まれる thに全部色をつけさせてから読むのに入る、などもよい。
Gradually and cumulatively
慣れない筋肉習慣を、いちどにいくつも行うのは無理。一つできるまでは一つに集中。一つできたら、もうひとつも同時に。二つできたら、3つめも同時に、と累積的に。3つめができたら一つ目が戻ったら、根気よく、また一つづつ。だんだんできる。
正しさよりカッコヨサ
その発音は間違っている、正しいのはこうだ、というより、それはあまり英語っぽくないよ、ダサいよ、カッコ悪いよ、英語らしいのはこうだよ、カッコイイよ、というソフトタッチがよい場合が多い。どんな生徒でも、心のなかでは、できれば英語らしくかっこ良く言える自分のほうが好きだ。
自分で音読できる力を
すべての題材に、予めモデルを示してやることはできないし、それがなければ読めないのでは永遠に自分で読めない。こういうスペリングはこういう音になる。こういう種類の単語は文の中では強く長く読まれ、こういう種類の後は弱くなる、etc という、ルールを徐々に教えよ。ある程度の段階になったらモデル(=正解の読み方)を示す前に、自分の力で読ませてみて、それをモデルでチェックする、のも必要。
イイカゲンに全部、でなく、きちんと1パラグラフ
いいかげんに300語を一回読ませるなら、きちんと50語を6回読ませよ。そして漫然とでなく、1回目より2回目、2回目より3回目が英語らしくなるように、コーチせよ。きちんと50語が読めるようになった生徒は、あとの250語も読めるようになっているはず。また、そうなるように、ルールを教えよ。
一斉音読とペア音読の間をいったりきたりせよ
モデルのあとについての一斉音読は、作業としてはしんどい。せいぜい5か10分まで。あとはペア音読にうつり、生徒の間を回って、ちょこちょこ、指導をする。いくつか共通のマズイ点が分かるので、そこで、またワンポイント的に「ちょっと聞いて~!」といって、今の点を一斉音読で15秒程度アドバイスし、またペアに戻す。これを繰り返す。
いつでも同じスタンスで
theをザと言うのを許さない、子音の後に不要な母音を入れるのを許さない、という態度を、音読指導だけでなく、内容理解、ライティング、スピーキング、リスニング、文法解説など、あらゆる場面で堅持すること。ぶれない態度がなにより大事。これをしないと、すべてが無駄になる。