オンがオフで、オフがオン
グルグル友の会 会員各位「『社会』にいったん出てから教員になろうか、どうしようか」という学生に対して、さまざまな力のこもったアドバイスをありがとうございました。私自身、改めていろいろ考えるきっかけになりました。最後にこの件について私なりの回答を書いて、この企画を〆たいと思います。私立中学高校10年+国立高専4.5年+私立大学11年+国立大学2.5年+私立大学1年目の、現在教職29年め(ということは来年デビュー30周年か。。)の男性です。<社会にでてから教職に、について>いったん「社会」に出てから最終的には教師になりたい、という考えには、Aさんと結婚してからゆくゆくはBさんと結婚したい、という考えに対して感じるような違和感を、個人的には持ちました。結果的に振り返ってみて、Aさんと結婚したけれども離婚してBさんと結婚した、という人生には誰も文句をいいませんし、最初からBさんと結婚していたよりもひょっとしたら人間性が豊かになっていて幸せな結婚生活を送れることもあるでしょう。しかし最初からBさんとの再婚を計画しながらAさんと結婚するのはおかしいのじゃないか、と。それを最初から予定するのは、Aさんの人生にもBさんの人生にも失礼なんじゃないか、と。職種にもよるとは思いますが、ゆくゆくは転職すると分かっている新人に本気になって仕事を仕込もうとする人は多くはないのではないでしょうか。<忙しさ、について>24時間は誰にも平等です。だから誰でも24時間何らかのことをしている、という意味では誰でも平等に24時間「忙しい」わけです。それが、忙しいと感じるかどうかは、その活動を自分が好きで選択してやっているか、嫌なのに義務感で仕方なしにやっているか、という違いでしかありません。教師という仕事は、「仕事の時間」と「自分の時間」の区別がなくなる度合いの強い職業のひとつだと思います。家にかえっても生徒や学生のことは考えていますし、テレビをみても授業のネタを探しています。そしてそれが楽しいのです。昼間の仕事で教員として働いています、というよりも、自分のアイデンティティとして、存在として「教師」を生きている、のです。通常の「仕事」は、オンとオフの区別をつけて、仕事と休暇を峻別し、オフに休養してリフレッシュすることでオンとのバランスをとる必要があるようですが、私には基本的にはオンもオフもありません。ずっとオンであるとも言えるし、ずっとオフであるとも言えます。小説家とか芸術家とか運動選手とかもそうでしょうし、牧師さんなどもそういう要素があるのではないでしょうか。24時間、365日、twenty-four seven 教師をやっていて、それが楽しいんです。生活の糧を得るための業が心底楽しいなあ、と思えるのは幸せなことだと思います。忙しい職業は多いとは思いますし、やり甲斐のある職業も多いとは思いますが、その忙しさ、やり甲斐が、モノの売上げや数字やお金に関わることではなく、人の成長や人生に関わることである、というのが教職の特長だと思います。とても大切な仕事ですので、よい人材が一人でも多くこの世界に入ってくれることを願っています。