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11/01/2019

英語スピーチにおける望ましい話し方:ゆっくりと話せ


先月始め、私は毎年招かれている中学生英語弁論大会の県大会で審査員を務めました。審査員は基本的にスピーチ原稿を見ずに、純粋にその場で聞こえてくる音声のみによってスピーチの巧拙を判断します。聞き取れない場合にのみ、原稿を確認することもあります。

音声だけ聞いていると、ときに何を言っているのかわからない箇所が出てきます。中学生が用いる単語であればもちろん100%私は知っています。その私に聞き取れない部分があったならば、それはスピーカーの話し方の問題です。よってわからない箇所があるたびに減点していきます。発音を減点するだけでなく自動的に内容も減点になります。なぜか?何を言っているのかわからないのですから、その部分の内容はなにもないのと同じだからです。

その大会では審査員は8名で半分が日本語ネイティブ、半分が英語ネイティブでした。審査結果の討議の席で英語ネイティブも含めて異口同音に言われたことがあります。それは、「なぜスピーチをするときに、大切な単語、大切な情報のところを早口で駆け抜けるのか?!大切な情報が聞き取れないではないか。」ということです。

大切な単語、対比すべき単語、強調すべき単語。それを早口で言ってはいけません。大切さが伝わらない、というだけでなく、「このスピーカーは単に原稿を全体として丸暗記しているだけで、自分がその瞬間、瞬間ごとに発している単語の意味がわかっていないのではないか?」という疑問が抱かれるからです。

とくに出だしの30秒、1分間くらいは、文と文の間、チャンクとチャンクの間に十分に間をとって、ゆっくり、わかりやすく話してください。聴衆が、あなたがどういう背景の、どういう種類の話をしているか、を十分理解してもらう土台作りがその1分間です。あなたは自分のスピーチを何度も繰り返して覚えているのでしょうが、聞く人は初めて聞くのです。

聴衆を置いてきぼりにするのでは意味がありません。いくら良い内容であっても、わかってもらって初めてスピーチには意味がでるのです。あなたのスピーチを聞いているのは英語ネイティブだけではありません。その会場の聴衆のほとんどは、あなたと同じ非英語ネイティブです。そういうノンネイティブの聴衆にも理解されるよう話すことが大切です。

重要な言葉は目立たせしましょう。目立たせるにはいくつか方法があります。(1)その単語の前後にちょっと間をおく。(2)その単語だけ、ゆっくり発音する。(3)その単語だけ、ピッチを上げて高い声で言う。もっともいいのは、これら3つを組み合わせることです。

これはnon-native speakerのための、non-native speakerによる英語スピーチコンテストです。公表されている審査基準にも、

The appropriate rate of speech and audience awareness
話す速度の 適切さと非母語話者の多い観客への意識

という項目があることを思い出してください。君たちは、聞いている人を意識して、ひとつひとつの単語を、そして特にメッセージの中でも大切な意味を担う単語を、聞いている人に大切に届ける、そんな話し方をしてもらいたいと希望しています。

ちなみに、冒頭で触れた弁論大会では、いちばんゆっくりと、噛んで含めるような、わかりやすい話し方をした生徒が優勝しました。