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1/18/2017

歌の授業で最終プレゼンをしてみました

100人の歌の授業ですが、今回初めての試みとして、最終授業でグループ発表を行いました。経緯や様子などについて、自分の備忘もかねて記しておきます。

昨年度は15回すべてを通常の授業を行いましたが、その後、関西大学第一中学校の「Glee Project」の実践に刺激を受け、「今年度は自分の授業でも、発表会的なものをやってみたいな」と思ったのがきっかけで、学期途中に予定を組みなおし、最後の1回をそれまで練習した歌をグループで全体に対して発表する最終プレゼンテーションにすることとしました。

それをアナウンスしたのが10月末です。「1月の最後の授業では約100名/8グループ=10数名のグループで、それまでに授業でカバーした歌のうちのどれかを選んで、教室の前でアカペラパフォーマンスをしてもらいます」と宣言しました。

しかし大学生にそういうことをやらせるのは、中高にはないむつかしさがあります。中高であればクラス内の生徒同士はもちろんクラスメートとしてよく知っている者ばかりで、必要に応じて放課後に練習する・させるなども可能です。

しかし大学ではそうはいきません。100人もいれば口を聞いたことなく、名前も知らない人が多いわけであり、また時間割も十人十色で、「放課後」に集まって何かをする、なども難しいのです。

よって最終日のパフォーマンスをある程度でも成功させるには、すべての準備を授業内でさせることが不可欠でした。よって10月からは授業の最初の15分は、その日の歌とは無関係にして、すべて1月の最終パフォーマンスに向けてのグループ内準備を行わせました。準備は次のような段階を踏みながら、ゆっくり進みました。

(1)グループは座席の列ごとに指定しましたが、その中でまずグループリーダーを決めさせました。

(2)次に曲目を決めさせました。最初に希望をとったところ複数グループで同一曲目を選んでいたケースがいくつかあり、やんわりと、どちらかのグループの曲目を変更するようにもっていき、8グループがすべて違う曲をするように決めさせました。

(3)グループ内での歌う分担を決めさせました。

(4)分担がきまったら実際に「歌い合わせ」をしてみるように仕向けました。

(5)「歌い合わせ」は、教室内の前後に長い列に座ったままでは無理なので、どこかに集まって立ってやってみるように仕向けました。

(6)12月にはリハーサルと称して実際にステージ(がある教室なので)に上がらせて、本番通りに歌わせてみて、個別にダメ出しをし、ダメのでた部分を記録した歌詞シートをリーダーに渡し、修正しておくように言いました。基本的には通常の授業内で4人グループではグルグル合格を得ていることがほとんどなので、やる気になればきちんと発音できるのですが、大グループでのパフォーマンスとなるとまた別になってしまっており、あらためて注意を喚起する必要がありました。

(7)また発音以外に、グループメンバーの分担などについてもアドバイスをしました。基本的には全部ソロですが、要所要所に全員でのコーラスなども織り交ぜてみてはどうか、と。

(8)なかには極端に声量が小さな学生もいたので、全体に対して「マイクはつかわずアカペラでやりたい。それはマイクを使うとマイクを手渡しするタイミングで、曲のリズムが狂うから。また教室の前半分に集まって聞けば十分聞こえると思うので、マイクなしでいい。。かな?」と問いかけ、マイクなしでやるのだ、という覚悟をさせました。

確認ですが、リハーサルを除き、これらは授業の最初の15分ほどで行い、あとの時間ではその日の歌を通常手順でグルグルしました。

ここまでで12月。そして1月のしょっぱなの授業がもう本番なので、本番の2日前に、全員が採点するジャジング・シートをメールで送りました。ジャジングシートを送った意味は、採点基準として、発音の正確さ、声量、グループ内の連携、全体的なノリの良さ、があるのだと知らせて、それらの項目での得点がよくなるように努力するよう仕向けることと、全員が採点者になってお互いを採点するのだと知らせることで、暗に成績に入れるよと示唆し、より頑張ってもらうためです。

(私がいままでみた)中高の授業でありがちだった、最後に音声的にレベルの低い発表をさせて Great! Thank you!! という空疎な賞賛をする、というパタンはもちろん避けたいと思いましたし、かといって最後の授業なので盛り上がって、楽しく終わりたい、という気持ちもありました。鍵は学生たちがどこまでこの発表を真剣にとらえてくれているか、にかかっていました。

ある程度のレベルの発表をさせ、それに対して純粋に拍手をして楽しく終わりたい。。。

こうして迎えた最終日。「きょうはプレゼンテーションです。学期末テストという意味もありますが、最後の授業なので、なによりも楽しんでもらいたいと思っています。ビデオも撮りますので、張り切ってくださいね。最初の30分は準備に使ってもらいますので、1:45分には着席できるようにしてください。では準備に入ってください。」

このように説明してグループごとの最終練習が始まったのですが、その練習風景を見たとたん、それまでの心配は無用であった、と直感しました。

どのグループも立ち上がってリーダーを中心として集まり、最終チェックに余念がありません。体を左右にゆすってリズムをとっているグループや、男子も女子も全員がてをつないで腕をふりふり歌っているグループもあります。




あの光景だけで、すでにこの企画は成功であったと感じられました。嬉しくなって教室内を歩き回りその様子を最近使い始めた iPhone 7で写しまくっている自分がいたのです。

で、肝心の本番がどうだったかと言えば。。 楽しかったですね。どのグループも緊張しながら、精いっぱいのパフォーマンスをみせてくれました。グループの発表が終わるごとに、ホッとしたその表情をグループ集合写真に収め、2枚目には私も真ん中に入って写してもらう、という手順を繰り返しました。私を入れてのグループ写真の際には、学生たちが私のことを「愛して」くれている、つまりこの授業を受けたことを良かったと思ってくれている、ということが感じられ、大変嬉しく思いました。

全ての発表が終わった後は、最後の歌として L-O-V-E を教えて皆で合唱し、最初の4行を暗記して書く、という仕上げテストっぽい終わり方にしてみました。

初めてにしてはまずまずの出来だったと思います。

みんなお疲れさま。よかったよ!