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5/15/2011

踊る「男子」大学生の育て方

「踊る大学生の育てかた」は、女子クラスの話だったのだが、埼玉大の共学クラス(大学1年生の「教職入門」)を観察にきた教員志望の4年生に、

「男の子でも踊るんですね。ちょっとビックリしました。」

というコメントをもらったので、これについての考えを書いておく。

件の授業とは、Do Re Mi の歌の歌詞を使って、メロディなしのリズミックチャンツをつくり、ステップを踏みながら身体をゆらせて発音練習する、というものだった。

学生たち(男子17名 女子5名)は、今のところ全員教員志望者なので何でも基本的に一生懸命やる、というのを差し引いたとして、これが教員志望とは関係ない通常の英語のクラスだった(以前担当してた関西大のクラスはほぼすべてそういう状況だった)として、男子でも女子でも、私の授業ではみんな「踊る」。

上の質問というかコメントは「通常はあまり身体を動かすとか歌うとかいうのに対して抵抗を示しそうな学生でも、教師の指示に従うのに驚いた」という意味だと思うのだが、どんな学生でもこちらの指示にしたがって身体を動かす、というのには3つの力が働いていると思われる。

(1)これは有効な練習だ、と納得させていること

英語の基本はリズムで、リズムを体感するには口で言うだけでなく腕なり、足なりを動かして、文ストレスが来るそのぴったりのタイミングで足を踏みしめたり、手を叩いたりするのが、英語的に話せるようになるためには確かに有効そうだ、と思わせていること。これには普段から教員の英語運用力に説得力を感じさせていることがもちろん大前提である。

(2)モデルとしての教師が、まった恥ずかしげなく、楽しそうに、演ずること

これはまず絶対条件である。歌でもそうだが、教員が歌わずに生徒が歌うことは200%ない。モデルとして、楽しそうに演ずることが大切である。また実際に私はとても楽しんでいる。英語のリズムに合わせてぴったりと身体を動かすことは非常に気持よいことなのである。快感なのだ。それを学生にも味合わせてやりたい、と思っている。

(3)そうせざるを得ない仕組み、システムをつくっておくこと

その上で、好むと好まざるとに拘らず、こちらの要求したようにパフォームすると有利になり、できないと不利になるような、成績上の仕組み、システムをつくってやることが大切だ。具体的にはそれが個人のグルグルであったり、グループでのパフォーマンスの採点であったりするが、単に全体一斉授業でやるだけでなく、その時に指示されたレベルまで自分を高めないと実際に成績がよくならない、という仕組みがなければ、クラスをひとり残らず動かすには弱いと思われる。

以上の、頭で納得、教員の恥ずかしげのないデモ、やらざるを得ないシステム、の3条件が揃えば、どんなクラスでも動くはずである。実際私の経験では、小学生も、中学生も、高校生も、大学生も、大学院生も、現職教員も、踊った。

最初のうちは、生徒が「乗ってくれない」場合でも、まったく気にせず、教師は楽しそうに演ずるのがよい。心のなかでは歌いたい、踊りたい、と思っている生徒はかならずいるし、そういう生徒は目を見ればわかる。そういう生徒が自然に増えていって、全員が踊るようになるのである。

音痴でもリズム音痴でも、声を出したり、リズムに合わせて身体を揺すったりするのは、人間であれば誰でも気持ちがよいことなのである。それを周りを気にせずできるような雰囲気をつくってあげるのが大切だと思う。