ある中学の先生から、
授業で扱おうと思っている歌の歌詞に含まれる another が、どうしても another に聞こえず、むしろ an of a のように聞こえる。つまり、thの音が v に聞こえるんですが確かめていただけませんか
という質問をもらいました。
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回答:
その歌のその単語は、私にはthに聞こえました。ですが、これがVに聞こえても悩む必要はありません。
それはいい指導ポイントなんです。
つまり、
voice less th と、 f
voiced th と v
は、音響音声学的にも非常に近い、音だからです。
調音方法を考えてみても、両方とも、前歯という硬い物体に、唇、あるいは舌、という柔らかい物体を同じように軽くおしつけて、そこで摩擦を出して作る音、です。
似ていて当たり前なのです。
耳にそう聞こえるだけでなく、スペクトログラムを見ても、見た目にもかなり近いです。
そして、電話(高い周波数はカットされる)では、聞き間違いが多いことが知られています。
たとえば、生徒に、
fの音で、thank you (つまり fank you)
v の音で、 without (つまり wivout)
と言ってみて、かなり近いのだ、ということを実感させるといいです。
つまり生徒に言ってやるべき教訓は、
THの音は君たちがやりがちな、ZとかSとは似ても似つかない。むしろ、V や F に近い。そう思って発音しろ。
また逆も真で、Vの音は君たちがやりがちな、Bとはまったく違う。むしろ、THに近い。そう思って発音しろ。
(Vに関しては Wに濁点をつけたようなイメージ、も必要ですが)
ということだと思います。