それを考えるもととして、リアル授業に関しての次のようは手法を出発点として考えてみました。中学・高校での授業を想定して書いていることに注意してください。
--------------- 以下、拙著『英語授業の大技・小技』(研究社)より引用 ---------------
5 秘技:発問すべてテスト法
授業における指名には問題点がある。
(1)答える人数の少なさ
当然のことながら、ひとつの質問について同時に指名できるのは1名だけであり、他の全員はその時は答える機会がない。
(2)特定のものが答える
指名せずとも皆が自発的に発言(解答)してくれれば一番自然でよいと思うのだが、指名しないとなると、どうしても答える者が偏ってしまう。
当然のことながら、ひとつの質問について同時に指名できるのは1名だけであり、他の全員はその時は答える機会がない。
(2)特定のものが答える
指名せずとも皆が自発的に発言(解答)してくれれば一番自然でよいと思うのだが、指名しないとなると、どうしても答える者が偏ってしまう。
このような、特定の個人が答えることの限界を打破しようとして考えに考えて編み出した技が、秘技「発問すべてテスト法」である。
(1)授業開始時に小テスト用の紙を配る。
(2)「きょうの授業中にする質問はすべてテストだから、俺が質問したらすぐその答えを紙に書く。いいね〜!」(「え〜!?」)
(3)普通に授業を始める。授業を進めながら、何か質問したいことがあれば、クイズ番組風に突然「ここで問題です!」と宣言し、全体に向けて発問する。質問の種類は自分の授業スタイルと生徒の実状に即してなんでもよい。例としては:
(4)答えあわせは1問ごとに行う。発問をして、生徒が必死に答えを書いている状況を見きわめながら、まあ平均して5秒くらい経過したら、「はい!」と時間切れを宣言し、答えを言う。
(5)正解が示されたら生徒は、鉛筆を赤ペンに持ち代えて、今自分の書いた答えが合っていれば○、間違っていたり書いていなければ×をつけ、また次の問題に備える。
(6)この形式を授業終了1分前まで続ける。
(7)終了1分前になったら「はい!じゃあ、そこまでだから、○の数を数えてその合計を名前の横に書く!」といい、最後に紙を回収しておわる。
<発問すべてテスト法の良いところ>
(1)緊張感を持続できる
いつ何をきかれるか分からない、という緊張感で、昼休み直後の5時間目であろうが、居眠り者を出さない。
(2)柔軟性がある
ポイントは、授業中にする発問のすべてをそのまま小テストにしてしまう、という点にあり、その他は柔軟であり、教授法や生徒のレベルや使用言語(日本語による説明授業か、オールイングリッシュの授業か等)に縛られない。
(3)指名をする手間が省ける
私のように、(告白してしまうが)生徒の名前を覚えておくのが苦手な教師には大助かりである。
(4)生徒の理解状況がリアルタイムで把握できる
何人かの生徒の手元をのぞき込むだけで、生徒の理解度がチェックでき、その後の授業を小刻みに軌道修正できる。
------------------------ 引用終わり -----------------
これを動画配信に応用すると、「動画の中に発問を埋め込み、それに対する解答を提出させ、それを評価データのすべてにする」という手法に思い至ります。リアルの「発問即テスト法」と違うのは、リアル授業であれば発問して解答させたら即正解を言って採点させるのに対して、動画配信の場合は、動画のすべてを見終わってから解答を(google formsや manabaに)提出させる、という点のみです。
(2)「きょうの授業中にする質問はすべてテストだから、俺が質問したらすぐその答えを紙に書く。いいね〜!」(「え〜!?」)
(3)普通に授業を始める。授業を進めながら、何か質問したいことがあれば、クイズ番組風に突然「ここで問題です!」と宣言し、全体に向けて発問する。質問の種類は自分の授業スタイルと生徒の実状に即してなんでもよい。例としては:
- 特定の単語の意味、反対語「はい!この単語の意味は!」
- 単語の品詞「はい!このcashは名詞か動詞か?」
- 特定の単語の発音・アクセント「はい!カタカナでいいから次の単語の発音を書く!」
- 文アクセント「次の文で文脈からみて強く発音されるはずの単語はどれかな?さあ○をつけてみよう」
- 文の構造「今読んだ文の、主部はどこまでかな?主部が終わるところにスラッシュをいれる!」
- 文の構造「そうだね。ではその主部の中の、中心となる主語一語はどれかな?はい、まるで囲む!」
- 照応関係「はい!このtheyは何を指しているでしょう?」
- メイン・アイデア「はい、今のパラグラフで言いたいことを、日本語5文字で書く!」
(4)答えあわせは1問ごとに行う。発問をして、生徒が必死に答えを書いている状況を見きわめながら、まあ平均して5秒くらい経過したら、「はい!」と時間切れを宣言し、答えを言う。
(5)正解が示されたら生徒は、鉛筆を赤ペンに持ち代えて、今自分の書いた答えが合っていれば○、間違っていたり書いていなければ×をつけ、また次の問題に備える。
(6)この形式を授業終了1分前まで続ける。
(7)終了1分前になったら「はい!じゃあ、そこまでだから、○の数を数えてその合計を名前の横に書く!」といい、最後に紙を回収しておわる。
<発問すべてテスト法の良いところ>
(1)緊張感を持続できる
いつ何をきかれるか分からない、という緊張感で、昼休み直後の5時間目であろうが、居眠り者を出さない。
(2)柔軟性がある
ポイントは、授業中にする発問のすべてをそのまま小テストにしてしまう、という点にあり、その他は柔軟であり、教授法や生徒のレベルや使用言語(日本語による説明授業か、オールイングリッシュの授業か等)に縛られない。
(3)指名をする手間が省ける
私のように、(告白してしまうが)生徒の名前を覚えておくのが苦手な教師には大助かりである。
(4)生徒の理解状況がリアルタイムで把握できる
何人かの生徒の手元をのぞき込むだけで、生徒の理解度がチェックでき、その後の授業を小刻みに軌道修正できる。
------------------------ 引用終わり -----------------
これを動画配信に応用すると、「動画の中に発問を埋め込み、それに対する解答を提出させ、それを評価データのすべてにする」という手法に思い至ります。リアルの「発問即テスト法」と違うのは、リアル授業であれば発問して解答させたら即正解を言って採点させるのに対して、動画配信の場合は、動画のすべてを見終わってから解答を(google formsや manabaに)提出させる、という点のみです。
たとえば私の、とある講義授業では、
(1)教科教育法の教科書のあるセクションを読んで、それを要約する
(2)例文つきの単語集の、単語と例文の音声を聞き、かつその単語の英語定義を英英辞書で調べる
(3)英語発音についての教科書のあるセクションを読んで、その付属音声を聞いて発音練習する
ということをさせたいと思っています。そこで、(1)〜(3)をすべて講義動画にする(Camtasia 2019などを使用)のですが、その際、解答すべきことをすべて口頭で指示するのです。「口頭で」としたのは、指示をパワポの文字なので視覚提示してしまうと、学生が早送りしてその部分を見つけることが可能になり、動画をきちんと見ないことが考えられるからです。
90分の動画のどこかに10箇所とか20箇所とか問題指示を口頭で埋め込んでおけば、地道に90分視聴せざるを得ません。よくテレビやラジオの番組で、どこかで「合言葉」を言って、その合言葉を知っているひとだけ応募できる懸賞などがありますが、ああいうイメージです。
問題はあらゆるタイプのものが可能です。
A) 日本語で200文字程度の文章を書かせる。
B) 目標言語の単語(1語)を書かせる
C) 目標言語の1文を書き取らせる。
D) 目標言語の指定した文(章)を音読させる。
A〜Bは google forms の小テストにすれば、とくに Bと C は自動採点が可能です。(manabaでも可能のようですが、私は使っていません)。 Dは manaba のレポートとして音声ファイルで提出させることが可能です。
そしてDの音声提出物にたいするフィードバックですが、それを次の授業の動画に組み込むのが一番簡単だと思います。リアル授業でも、何人かの提出物を取り上げて、あるいは全体に共通することがらについてコメントすることがあると思いますが、それとまったく同じことを、動画にすればよいわけです。
Dで提出された音声をPC上で再生し、それについてフィードバックしている様子、それ自体を録画してしまい、次回の授業用の動画の冒頭部分として配信する、ということです。
以上のように動画のなかに、動画を最初から最後まできちんと視聴しないと解答できない設問を組み込んでしまう、という手法をとれば、オンデマンド配信でも学生はきちんと学習してくれるのではないか、と期待しています。