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8/20/2012

発音判定ソフトの波形、にだまされないこと

発音の良し悪しを判定するソフトウェアがいくつか市販されている。

それらの評価はさておき、思うことは、ああいうソフトを生徒の発音指導に有効に使うには、自分で生徒の発音指導ができる教師でないと無理ではないか、ということだ。

最悪、どういう発音(方法)の結果でてくる発音(音自体)がよくて、悪いのか、がわからないような教師だと、能力のない自分の代わりをソフトウェアにしてもらう、ということになってまう。

で、能力のある教師の指導力はもちろん、判定力の代わりを師範代として任せられると私が考えるソフトは、まだ私の知る範囲では、ない。

あったとしても、それは哀しい状況だ。先生が指導・判定できないから、機械にやってもらうのである。(そうでなくて、一斉に効率的にやるためだ、というなら一定の価値はあるが。)

それから、一般の教師は、音声波形が示されると、それだけで、「お! 科学的だ!」 となってしまう、という点はないだろうか。

スペクトログラムのない音声波形から得られる発音指導に役立つ情報は非常に限られているのにも拘わらず、だ。

音声波形の波の振れ幅は単なる音圧、つまり個々の音ごとの声のでかさである。あるいはマイクと口の近さ、である。

(かといってスペクトログラムを出すと一般人にはまったく何のことやらわからないから、音声波形を出している、のだろうか。)

単なる音のでかさをグラフにしたものであるにもかかわらず、モデルの音声波形と録音者の音声波形を並べて表示して、その形の異同を問題にする、といった趣のソフトが多い。

表現は悪いが、あれはコケオドシのように感じてしまう。ユーザー(英語教師!)の無知につけこんで、波形の全体の形をあわせることがあたかも意味があるかのように思わせる、のだ。

つけこまれないように、きちんと(音響)音声学の知識くらいはすべての英語教師がもっているべきだ。