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6/24/2012

内容理解と音声表現の一体化を

最近、多くの高校教師に共通する「思い込み」を感じたのでコメントします。

「内容理解に時間が取られすぎてアウトプット活動できない」
「アウトプット活動ばかりの授業を周囲から評価されない」
「発音指導は内容理解が終わってからやるのか」

これらの悩み、質問に、共通して私が感じたのは、いわゆる「本文内容理解」と「活動」を授業の中で、はっきりと分けすぎているのではないか、ということです。

内容理解とは、どういう音声(もしくは文字列)がどういう意味を伝えているのか、であり、活動とは、どういう意味を、どのように音声(もしくは文字列)で表現するのか、ということですから、いずれも音声と意味の結びつきを「理解させ、確認し、強化する」作業です。

だから、内容理解においても、活動においても、音声と意味の両方のファクターが必ずなければならないはずです。


しかし多くの授業では、「内容理解活動」をしているときには、まるで音声がそこにないかのような扱いだったり、逆に「音読活動」「言語活動」のときには、全員が意味を完璧にすでに理解して憶えてる、というような扱いの場合がないでしょうか。

そこでこのメールでの提案は、(1)本文内容理解のなかに音声アウトプットの要素を、と、(2)音声活動のなかに意味の再確認要素を、入れよう、です。

具体的に考えます。

Our understanding of intelligence is being reconstructed. The IQ
score, developed early in the twentieth century, is supposed to be a
measure of a person's innate intelligence. A score of 100 is defined
as normal, or average. The higher the score, the brighter the person.
(以下略)

といったテキストを内容理解を確認しながら音読・音声アウトプットしていきす。以下、T(教師)、S(生徒)、Ss(生徒全員)

--授業例--

T: はい最初の文ね。Our understanding of intelligence  なんの理解? S1

S1:  知能

T:  そう。知能というものに対する我々の理解が、だね。強いところは思い切って強く言うよ。 our UNderSTANDing of inTELligence
Ss: our UNderSTANDing of inTELligence

T:  その理解がなんだって? S2

S2:  再建されてる

T:  うん。is being ... ed
だから、受け身の進行形なので、再建されるという作業がいま現在、進行中だってことだね。はい3箇所強いよ。 is BEing
REconSTRUCTed

Ss:   is BEing REconSTRUCTed

T: つぎの文。主部はどこで終わる? S3

S3: century

T: あたり。じゃあ、developed から century までを (   )で囲んで。挿入的な説明だから。 じゃあその(
)を飛ばして、measureまで読むよ。The IQ SCORE is supPOSED to be a MEAsure

Ss: The IQ SCORE is supPOSED to be a MEAsure

T: 単なる、The IQ score is a measure と比べるとどうちがう? 知能指数は指標です、じゃなくて、指標と... S4

S4: 指標ということになっている

T: そう。「~ということになっている」けど、実際はあやしい、というニュアンスが出るんだよ。じゃあ、そう思いながら、見ないで言ってみよう。はい顔を上げて!

Ss:  The IQ SCORE is supPOSED to be a MEAsure

T: はい。で何の指標かな? innate ってなんだっけ。英語で説明しよう。innate intelligence is
intelligence you have when you are ....  S5

S5:  born

T: その通り。生まれた時に持っている、生まれつきだね。生まれつきの知能の指標、a MEAsure of a PERson's inNATE
inTELligence はい!

Ss:  a MEAsure of a PERson's inNATE inTELligence

T: じゃあ最初から続けていってみるぞ(手を叩きながら)。  The IQ SCORE is supPOSED to be a
MEAsure of a PERson's inNATE inTELligence

Ss: The IQ SCORE is supPOSED to be a MEAsure of a PERson's inNATE inTELligence.

T: はい、見ないでもう一回行ってみるぞ。言い終わったら書くからな。せ~の。

Ss: The IQ SCORE is supPOSED to be a MEAsure of a PERson's inNATE inTELligence.

T: はい、じゃ、見ないで書け!

T:はい、じゃあ今度は、さっき飛ばした( )のなかも入れて、言ってみよう。「知能指数は20世紀初期に開発されたのだが」

Ss: The IQ score, developed early in the twentieth century,

T: 「人が生得的に持っている知能の指標ということになっている」

Ss: is supposed to be a measure of a person's innate intelligence.

T: じゃあAさんがBさんに、質問してみな。「知能指数はいつ開発されたの?」

SsA ペアの片方が一斉: When was the IQ score developed?

T: はい、Bさん答えろ。

SsB:   It was developed early in the twentieth century.

T:  はい、次、Aさんこう聞いてみて: It is supposed to be a measure of WHAT?

SsA: It is supposed to be a measure of WHAT?

T: はい、Bさん答えろ。

SsB:  A person's innate intelligence.


---- 授業例 以下略---

このようにして、意味を確認しながら、音声化の練習もチョコチョコしながら、ペア問答もチョコチョコ入れながら、適宜ライティングも入れながら、進んでいく、というのが今日の提案です。そして、たとえば、1セクションのなかで、3つの文を書かせたとして、最後に、ノートに書いたその3文を使った「お急ぎグルグル」(たとえば、1文につきチャンスは1回、とか)をやる、なんてのも可能です。

このようにしたほうが、いつも意味と音声のつながりを意識しながら進むことができますし、黙って意味理解だけを20分もやっている、とか、音読だけを20分だけやっているとか、ライティングだけを20分やる、とか、ペアワークだけ10分やるよりも、だれないし、飽きないというメリットもあると思います。

「内容理解」と「音声活動」の融合。

来週から、是非、取り入れてみてください。

(なお、『英語授業の大技・小技』のなかにある、「リンス即シャンプー法」というのも、音声化活動の中に内容確認作業を入れる方法の1つです。)