Total Pageviews

11/23/2011

自信がないと質問も受けられない

英語科指導法B 受講者各位

昨日の授業で、英語でディスカッションをしましたが、その時のことを思い出してください。私は途中で二度、「タイム!」と言って、ディスカッションを止め、「何か表現でわからないものがあれば質問してください」と言いましたね。

20年前の私であれば、ずっと英語で通していました。生徒に何か英語で言わせて、その生徒が言葉に詰まって沈黙しても、助け舟を出すために、あくまで英語で、

What do you want to say? Do you mean A? Do you mean B? Or…

などと、すべて英語でヘルプをだそうとしました。

生徒がどんなに困っても、そのフラストレーションと、苦闘の中から language acquisition が起こるのだ、と信じていたからです。

起こるかもしれませんが、それは非常にゆっくりな話で、たぶん何十年もかかると思います(日本で単に教室で英語を学習している、という環境では)。

今は、あのように、生徒が困っているようであれば、日本語でいったん止め、言いたいことを日本語で言わせて、それに対応する簡単な英語表現を教え、また英語ディスカッションを再開する、という方法をとっています。そのほうがずっと効率的だと気づいたからです。

なにかわからない表現があるときに1分間英語であ~だこ~だと言って苦闘させるより、最初の10秒で表現を与えてしまって、あとの50秒はまたその表現を使ってdiscussionを再開したほうが、時間の使い方としてずっとよいし、結果的にそのほうがその生徒の力がたぶんつく、からです。

で、そのような方法を、君たちにも将来採用して欲しいのですが、そのために気づいてほしいことがあります。それは、

「なにか表現で困っていることはないかい?」という質問を教師ができるためには、当然、生徒がどんな質問をしてきても即答できる、という自信がなければ無理だ、

ということです。

単にどんな答えでもいいわけではなく、その解答を聞いた生徒が、「ああ、なるほど。その単語なら知っているから自分でも覚えれば使えるな」と感じるレベルの、「生徒の力に合った表現をすぐに答えてやれる」力が必要だ、ということです。

単に自分の英語力レベル、単語力を高めて、英検1級に合格してtoeicに満点が取れればいいというのではなく、難しい単語を使わずに答えることが必要だ、ということです。

単なる高度な英語ユーザーでなく、教員ならではの英語力が必要だ、ということです。

わかりますよね?

これを聞いて「それは自分には難しいな」と思う人もいるかもしれません。しかし、そこで挫けてしまうと、結局、

「自由なディスカッションをさせない教師」

「自由英作文をさせない教師」

「ディスカッションをさせることはさせても、単に内容に対して『それはいい意見だ』とコメントするだけで、英語自体にフィードバックができない教師」

になってしまうのです。

君たちにはそのレベルの教師になって欲しくありません。

だから、今より一層、自分のプロダクション能力、手持ちの単語を使いこなす能力、を高める努力をしてください。そのためにはLongmanやOALDなどの学習者用英英辞典の定義をいつも見ている、なども大変いい勉強になります。

いっそうガンバッテください。